Ultima3 マニュアル
The Book Of Play

EXODUS Ultima III :The Book Of Play (旅の手引き書)

よくぞ戻られた、幻の旅人よ。
汝がこの奇異なる世界を去ってから、もう随分時が流れた。
いや、汝のごとき偉大なる旅人にとっては、適度な休養のときであったかも知れぬ。
しかし、恐怖の魔術師モンデインとその弟子ミナクスを倒した汝ら勇敢なる旅人の名前は、今もなお、民の心に深く刻み込まれている。
ロード・ブリティッシュ国王陛下お抱えの吟遊詩人は、度重なる凶悪な侵略者との壮絶な戦いの様子を語り続け、汝を賛美する歌を唄い続けている。
そして、汝の偉業は、ソーサリアの善心の勝利を記念するウルティマI及びウルティマIIの年代記に刻まれた。
これは、時代の証人として、いつまでも受け継がれることになるであろう。

汝の休養の時はこれまでだ。
遥かに鳴り響く戦いの角笛を聞き、友の痛みを魂に感じたからなればこそ、汝は今そこにおるのであろう。
さよう。汝は召喚されたのである。
この呼び掛けには、何人たりとも逆らえん。
汝の天命であると知るがよい。



旅の心得

汝の留守の間に、世の中はいろいろと変化した。
まず、その変化を、よく確かめておかなければならない。
汝のために用意された、真の勇者のみが着座を許される"英雄の座"は、今は席を増して汝の着座を待ち続けている。
これまで1人しか通ることができなかった召喚の門は、4人までを通すことが可能になったのだ。
これにより、汝は選択を迫られることになる。
前回、汝が召喚された時と同じく、たったひとりで旅に出るか、それとも、3人までの仲間を募り、彼らを従えて旅に出るかである。
この世に何の未練もないのであれば、ひとりで行くのもよいだろう。
しかし、それは賢明な選択とは言えん。
さあ、決断を急げ。
戦いの角笛が聞こえてきたぞ!

そうそう。
旅立ちの前に、ある儀式を忘れてはならん。
ひとつは、この箱の中身を確認すること。
これが召喚の門を開ける鍵となる。
そして、それらを大切に扱うことが、汝の旅の仲間を守ることにもなる。
ディスクの動作テストをする前には、必ずプレーヤーリファレンスカードの裏に記されているとおりに、神秘の儀式をとり行なうように。

箱の中には、この手引き書とディスクの他に、貴重な布の地図、リファレンスカード、そして、2冊の古い書物が入っている。
魔法の心得のない者が不用意にこれをひもとくことは、魂の破壊を招きかねない。
大変に危険であるから注意されよ。
これらの書物は、この数百年間、もうこの世には存在しないと信じられてきた。
しかし実際には、不吉であるという理由から、ロード・ブリティッシュ国王陛下の側近の指示によって、古代より定められている安置場所に隠されていたのであ る。
そして今、恐ろしい力を秘めたこの2冊の書物は、再び活躍の時を迎えたのだ。
運命の神は、近く大きな戦争が起こり、深海の底から“グレート・アーススネーク”(偉大なる大地の蛇)が昇ってくることを予告したと、巷では騒がれてい る。
賢人は毎夜悪夢にうなされている。
恐ろしき悪魔どもが、またもこの国を踏みにじろうとしているのだ。

まことに遺憾ながら、汝が手にしているソーサリアの地図は、完全ではない。
不世出の地図職人、ホークウインドが、旅の途中で盗賊に襲われ瀕死の重傷を負わされたために、地図の制作が中断したままになっているのである。
そのためこの地図には、町、城、ダンジョンなど、重要な場所の表示が一切なされていない。
それらは、汝自身が足で確かめ、地図の上に記していかなければならないのだ。そのとき、この世界には、地上に現れている以外の土地もあると言われているこ とも、肝に銘じておくべきであろう。

リファレンスカードには、アルファベット順にコマンドが記されている。
その多くは見ての通りの単純なものであるが、中には、少々複雑なものもある。

Cast−呪文
このコマンドを使用する際、使用する者のキャラクターナンバ−(1〜4)と、汝の職業と、唱えんとする呪文が魔術師系か僧侶系かを宣言しなければならな い。
そうした後に、唱える呪文を指定せよ。

Fire−砲撃
3マス分の射程距離がある。
ただし、砲撃によって倒した敵からは、戦利品を奪うことができない。
海賊船にも同じ砲が搭載されているから、反撃されぬよう注意されよ。

Join−集金
パーティー全員の所持金を集めて、ひとりのキャラクターに持たせる。
高価な品物を購入するなど、まとまった金を必要とする場合などに利用するとよい。

Look−観察
特に、初めての地域や地形に足を踏み入れる前には、周囲をよく観察することが大切である。

Negate−時間停止
盗賊の親方が得意とするコマンドである。
あるアイテムを使用することによって、盗賊は、数ターンにわたり、周りの時間を止めることができる。
盗賊が衛兵に守られた宝の山を、大胆にもねこそぎ盗み出せるのは、このコマンドのお陰なのである。

Other−その他
“Kiss”Princess(王女にキスをする)とか、“Jump”cliff(谷を飛び越える)など、例えばこのように、特別な場所や状況に際して、 通常の言葉でコマンドを与えることができる。

Peer−俯瞰
ある特殊なアイテムの力によって、汝は汝のパーティーが今どこにいるのかを確認することができる。
地上では、この世界の全体地図を、町や城では、その内部の全景を、タンジョンでは、それぞれの階の全体地図と、梯やドアや特別な物が置かれていればその位 置なども、すべてを、目の当たりにすることが可能になる。

Yell−叫ぶ
遠くまで言葉を響かせるコマンドである。
ドラゴンに追われているときなどに、役に立つであろう。
試しに、“Open gate”(門を開けよ)と叫んでみるがよい。


以上が、旅の心得だ。
難しくて覚えられぬような事は、何ひとつなかろう。
さあ、出発の時が来た。
ディスクのプログラム面をマシンに挿入し、その他のものをマシンのまわりに準備して、電源を入れるのだ。
間もなく、召喚の門を通して、汝の近縁の者が、闇の世界の怪物に決死の戦いを挑んでいる姿が見えてくるであろう。
決着は瞬時についてしまう。
救援に向かうにはもう遅い。
しかし、復讐の時間は残されている。
落着いて、マシンに現れる指示に従うのだ。
パーティーは全員揃っているな。英雄の座へ通じる召喚の門を開くために、パーティー全員が精神を集中するのだ。
そうら、周囲の様子か変化して……。



召喚の門の通過

召喚の門を通過する間、汝は闇に包まれる。
しかし、間もなく闇は晴れ、ソーサリアの素朴な景色が目に映ることだろう。
それが見えたならスペースキーを押し、次の3つの中から汝の道を選択せよ。

−旅を続ける。 −キャラクターを登録する。 −パーティーを編制する。
●「パーティーを編制する」は仲間とともに冒険を始めることである。
●「キャラクターを登録する」は、汝が最初に選択すべき道である。これを選ぶと、さらに次の選択が現れる。

−新しいキャラクターを登録する。 −キャラクターを削除する。 −キャラクターを見る。 −キャラクターの名前を変更する。 −世界データーを初期化す る。 −メインメニューに戻る。
●まずやらなければならないことは、キャラクターの制作と冒険を共にするパーティーの結成である。
●「キャラクターを見る」で、それぞれのキャラクターの名前とタイプ及び特徴を調査する。
●「新しいキャラクターを登録する」において、汝は旅を共にする同志を創造することができる。キャラクターの創造は、汝の人格を複製するのと同じであるか ら、以下の手順に従って慎重に行なうこと。
1)人間、エルフ、ドワーフ、ポビット、ファジーの5つの中から、種族を選択する。(表1参照)
2)男性(M)、女性(F)、中性(O)の、いずれかの性別を与える。
3)7文字までのアルファベットまたはカタカナかひらがなで、名前を付ける。
4)ファイター、クレリック、メイジ、シーフ、バラディン、バーバリアン、ラーク、イリュージョニスト、ドルイド、アルケミスト、レンジャーの中から、職 業を選択する。(表2参照)
5)Strength(強さ)、Dexterity(素速さ)、Intelligence(知力)、Wisdom(賢明さ)の4つの能力に対して、合計 50の能力ポイントを振り分ける。
強さは、戦闘に必要な能力。素速さは、素早く適切に体を動かす能力。知力は魔術系の呪文を、賢明さは祈とう系の呪文を唱えるときに必要とされる能力である (表2から、それぞれの職業に必要な能力を確認すること)。

どの能力も、5ポイント以下、あるいは、25ポイント以上に設置することはできない。
誤った設定がなされると、そのキャラクターは消滅し、また新たに制作し直さなければならなくなる。

●メインメニューに戻り「パーティーを統制する」で、4人までのキャラクターを選び、パーティーを組織する。登録名簿を調べて、その中からパーティーに加 えたい者を、名前の後に付いている番号で指定する。
一度結成したパーティーは、“パーティーの解散”をするまでメンバ−が変更されることはない。
●「パーティーを解散する」は、文字通りパーティーを解散させ、各キャラクターを登録名簿に戻すことである。
解散させられたキャラクターは、名簿の中で再び選ばれる時を待つのである。
●「キャラクターを削除する」は、登録名簿からキャラクターを抹消する。
これによって、使い物にならないと判断されたキャラクターを名簿から除外して、新しいキャラクターを登録できるスペースを作ることができる。
●「メインメニューに戻る」は、3つの選択肢が出た、ひとつ前の画面“メインメニュー”に戻ることである。
そして、そこから“旅を続ける”のである。

図 冒険者たち。



(左から)アルケミストのボビット、メイジのボビット、バラディンのエルフ、イリュージョニストのエルフ、シーフのファジー、ドルイドのファジー、レン ジャーの人間、クレリックの人間、ファイターのドワーフ、ラークのエルフ、バーパリアンの人間。


表1 種族ごとの能力別最大能力ポイント

表2 職業と技能の関係。

使用できる武器と防具。唱えることのできる呪文に消費できるマジックポイントの量、及び、特殊技能。
※ドルイドは、呪文能力の回復が、他のどの職業のキャラクターよりも早い。 







呪文

キャラクターには呪文を唱えることができる者もあるが、各々、呪文能力の限界が決められており、それは、パーティーの状態を示すデータウインドーに表示さ れる。
たとえば、知恵のポイントか25のクレリックならば、最大25マジックポイントの呪文能力かある。
知力15、賢明さ10のレンジャーであったならば、使用できる呪文はBランクまで。
つまり、最大5マジックポイントの呪文能力しか持たないということになる(レンジャーの場合、知力か賢明さか、どちらか低い方のポイントの半分の呪文能力 となる)。
呪文によって消費されるマジックポイントの量が異なり、消費されたポイントは、屋外では1ターンごとに1ポイント、町やダンジョンなどの構造物の中では、 4ターンに1ポイントずつ回復する。
ただし、ドルイドに限っては、1ターンに2ポイントずつ回復できる特殊な能力がある。
種族の選択を誤ると、思っていたほど呪文の腕が上がらずに冒険に支障をきたす、などということになりかねない。
最初の種族の選択は、特に慎重に行なうことだ。

さて、仲間を募り、パーティーを結成したところで、ひとこと言わせてもらおう。
ソーサリアの状況は、悪化の−途を足早に辿っている。
呪いの災厄は、ロード・ブリティッシュ国王陛下の領土を覆いつくし、あたかも国全体から血の気が引いてしまったような、恐怖一色の世界と化している。



宝箱

地上で怪物の群を全滅させた後には、通常、宝箱が残されている。
宝をたんまり収めているものもあれば、空っぽのものもある。
地上であろうと、地下であろうと、宝箱には罠が仕掛けられていることが多いから、注意されたい。
罠を解くには、祈とう系の呪文の"AKKAM UNEM"を盗賊に働いてもらうのが安全であろう。
罠には、次の種類がある。宝箱を開けた者に危害を加える"ACID"(酸)と"POISON"(毒)、宝箱の中身を破壊しパーティー全員に危害を加える "BOMB"(爆弾)、そして、パーティー全員に危害を加える、"GAS"(毒ガス)である。



移動

物体を透視できる特殊な道具を使用しない限り、パーティーが見ることのできる範囲は、物による視野の防げのない部分のみである。
死角になる部分は、黒い影に隠れて見えなくなるのだ。
樹木や山や壁は、視野にとっても障害物となる。
初めは戸惑うかもしれないが、なに、すぐに馴れるから安心されよ。
往々にして、見えない部分に何かが潜んでいる。
そのためにも、土地の調査は、念入りに行なう心がけが大切だ。



ダンジョン

近頃、ダンジョンの危険度が著しく増加している。
探検は、慎重に慌てずに行なうべし。
まず、すべてを地図に記せ。いたるところに秘密の扉が隠されている。
回廊には魔性の風が吹き、あらゆる明かりを吹き消してゆく。
一歩一歩、注意深く探索するならば、ふとした拍子に、あるメッセージが目に映るという、不思議な現象に遭遇することもあるだろう。
旅人の間では、ダンジョンの底に、さらに深い隠されたダンジョンがあるとも囁かれている。
また、罠や落とし穴も数多く潜んでいるから、くれぐれも軽率な行動はとらぬように。
パーティーに盗賊がひとりいれば、かなり助かる。盗賊を先頭にして進めば、彼が事前に罠を発見してくれるからだ。
それぞれのダンジョンには、それぞれ特有の神秘が隠されている。
たとえば、泉ひとつをとっても、有益なものもあるが、毒の水が湧き出ているものもある。
水を飲むときは、十分に覚悟することだ。



戦闘

汝がパーティーを組んで旅をするごとく、怪物どもも徒党を組んで徘徊している。
パーティーが怪物と戦闘状態に入ると、それまでとは別の戦闘画面に切り替わる。
この画面では、パーティーのメンバ−ひとりひとりが表示きれ、怪物も同様にその数だけ画面に表示される。
そして、各キャラクターは、移動、攻撃、呪文などの行動を個別にとることができるのである。
戦闘で心せねばならないことは、ななめ方向への攻撃を加えることはできず、常に縦横方向の敵に対してのみ攻撃できるということだ。
また、敵の隊形をよく見て、ひとりのキャラクターが複数の敵から攻撃を受けてしまうような状況にはまらないよう、心がけることも大切だ。
このような、身動きのとれない態勢に追い込まれては、命がいくらあっても足りん。
汝のターンにおいて、攻撃や呪文を敵にかけるときは、どの方向の敵に向けるものなのかを指定しなければならない。
たとえば戦士が、右側に迫ってきたオークに一撃をくれてやろうとする場合は、まず攻撃のコマンド"A"をタイプし、続いて東(右)を示す方向キーをタイプ するのだ。
されば、戦士の剣が、オークのぶ厚い面の皮を切り裂かんと振り下ろされる。
汝の耳には、鉄が肉を切り裂く鈍い音が聞こえるはずである。
弓と呪文による攻撃は、戦闘画面内であれば、どんなに遠く離れた敵も狙えるという利点がある。
短剣を使う者は、1マス以上離れた敵に対して攻撃を加えた場合、敵に短剣を投げつけることになるから、注意されたい。
これまでに、チャンバラに熱中するあまり大切な短剣を投げつけてしまい、命を落とした魔道師は数知れないということを忘れるでないぞ。
敵を倒すごとに、とどめの一撃を加えたものには恩賞として経験ポイントが与えられる。
キャラクターは、経験ポイントがある程度溜まると、自動的にレベルが上がるようになっている。

汝が町や城の外で出会う者は、すべて悪と考えるべし。
善良なるソーサリアの市民は、みな町や城の壁の中でのみ生活しているから、外界やダンジョンで遭遇する生き物は、すべて敵である。
腕に自信があれば、敵を見たら即座に攻撃を仕掛けがよい。
しかし、汝のパーティーがまだ旅を始めて日が浅かったり、凝死の状態にあったなら、一刻も早く、その場から逃げ去ることを考えよ。
戦闘状態に入っても、死亡したメンバーは画面には現れんぞ。




図 上の画面は、シャミノか率いるパーティーが、パブで旧友にして同志デュプレと酒を酌み交わしているところである。
シャミノの健康状態は良、男性の人間で、職業はレンジャー(MHR)であり、マジックポイントが1(M:01)、レベルが20(L:20)、ヒットポイン トが1900(H:1900)、食糧が211ユニット残っている(F:211)ことが、右上のデータウインドーにでている。




図 上の画面は、8匹のアンデッド・スケルトン(上半分に並んでいる)がパーティー(下半分に並んでいる)と戦闘状態に入っているところ。
シャミノ(1番)が前列左、フィデーサ(2番)が前列右、フリーティス(3番)が後列左、ショウン(4番)が後列右に位置している。



交通

旅は歩いて行くのか普通だが、運がよければ、草原で草をは食んでいる野生の馬を捕まえることもできる。
馬に乗れば、歩くよりずっと速く移動できる。

船は、数が限られていて手に入りにくい。
海賊どもが、一般船をみな沈めてしまったからだ。
運よく船を手に入れることができたとしても、船を自在に操るためには、操舵方法を学ばなければならない。

船の操舵は、風を読むことから始まる。
船は風に逆らって進むことはできない。
向い風に対して進まなければならないときは、ジグザグに進むことだ。
風向きの突然の変化に気を付けよ。
風は、気紛れな自然の力であることを忘れるな。

最も効率のよい移動手段は、神秘のムーンゲートであろう。
これは、汝と汝の仲間をこの世界に呼び寄せた召喚の門と同類の現象であるが、それよりも、やや小型のものと考えられる。
輝くムーンゲートは、汝と汝のパーティーを、ある秘伝の力に導くことがあるだろう。
その力をたたえた伝説の知恵の谷は、ムーンゲートを通ることによってのみ、到達可能なところにある。
闇の生物は、ムーンゲートを通ることができないため、そこは今でも、悪の勢力から固く守られているのだ。
ムーンゲートから別のムーンゲートに抜けるテレポートの旅では、ソーサリアを巡る2つの月、トラメルとフェルッカの相が、汝の行き先を決定する。
その法則については、地図喘人ホークウインドが解明したと伝えられているが、それが世間に公表される前に、彼は怪物の餌食となってこの世を去ってしまっ た。
汝の旅の目的は、ムーンゲートの謎を解明することなくして達成はあり得ない。

画面の一番上に、2つの月、トラメルとフェルッカの相が、数字によって示される。
0−新月 1−三日月 2−上弦 3−十一日月 4−満月 5−十八日月 6−下弦 7−二十六日月



最後の忠告

ソーサリアの大平原には、汝は素裸で、しかも手ぶらで降り立つことになっている。
それゆえ、何よりもまず、服を着て(Wear)、短剣を手に構える(Ready)ことを忘れるでないぞ。
そして、なるべく早く最寄りの町を探し出し、そこでより強力な武器と防具を買うのがよかろう。
この冒険から生きて帰ることができるか否かは、リーダーの手腕もさることながら、装備の質によるところが大きい。
食糧の調達も忘れるでない。
隣の町までは、かなり距離がある。
途中で食糧が切れてしまっては、目もあてられん。

旅の途中、どうしても休養が必要になったときは、スペースキーを続けて叩いてみるがよい。
これにより、汝は何の行動も起こすことなく、時間のみが経過する。
だがしかし、その間、怪物どもは休まず活動を続けているから、抜かるでないぞ。
また、汝の食糧は、急速に消費されることを覚えておけ。

どんなに誠心誠意努力したところで、この冒険は、たった一度の挑戦で成し遂げられるようなものではない。
だが、そう落胆することはない。
汝が到達し、あるいは手に入れた物すべてが、中断によって失われるということはないのだ。
汝はロード・ブリティッシュ国王陛下の名代として戦う勇者である。
汝の行動のすべては、国王陛下に仕える偉大な魔道師によって、常に見守られている。
汝が町や城などの構造物に出入りするたびに、汝の魂が国王陛下の執務室の壁に掛けられた鏡に映しだされ、汝の業績が見届けられるのである。
これにより、この次に"旅に出る"ときは、偉大なる魔道師の呪文によって、汝がどこかの構造物に最後に立ち寄った場面、または汝が最後に終了"Q"をした 場面を呼び起こし(Restore)、そこから再び旅が始められるように取り計らってくれる。

さて、もうこのくらいでよかろう。
汝はすでに、幾多の難関に立ち向かえるだけの準備を整えた。
今のうちに、同志たちと友情を分かち合っておくことだ。
明日には引き裂かれる運命かも知れぬからのう。
では、メインメニューから「旅に出る」がよい。
我等の神々が、汝を勝利に導かんことを。



ソーサリアの社会

これは、町で見られる店や人々、それに怪物の概要である。
ここは、旅の間も、繰り返し目を通されることを勧める。
特に、汝の敵を理解することで、怪物の欄は重要である。




武器店……
実に見事な手作りの武器を売買する。
どの武器も、1000回戦闘を重ねても破損しないという保証付きである。
万一、破損してしまった場合は、汝の残された家族に、その武器の代金の2倍の金額が賠償金として支払われる。

防具店……
頑丈な防具を販売するだけでなく、戦利品を買い取ってもくれる。
武器も防具も、売却して金に換えるのはよいが、裸のままで歩き回らぬよう、新たなる装備を身に着けることを忘れるでないぞ。

食糧品店……
この世界を旅する者には、グルメは無縁の存在である。
しかし、味よりも、長い旅の間も腐らずに長持ちするここの食糧は、みなに尊ばれている。

道具店……
盗賊が経営する、主に泥棒道具を高い値段で売る店。
ほとんどの町がこの類の店を追放してしまったため、非常に数が少ない。

パブ……
厳しく辛い旅を一時忘れて、冷たい飲み物でくつろぐ所。
バーテンはいろいろな話を知っている。
それを聞くには、幾らかチップをはずまなければならないが、彼の言葉は真実である。

療養所……
町の静かな片隅に、質素な療養所を見つけることができる。
目玉が飛び出すほど高い料金を請求されるが、金で体の傷が治るのだから、有り難いと思え。

うまや……
2つの町で、ロード・ブリティッシュ国王陛下御用達の馬を買うことができる。
ただし、馬はパーティーの人数分を一度に買わなければならないため、少々値がはるかも知れん。

予言者……
町の奥まった所に、よく高名な予言者が住んでいる。
彼らは、汝の身のまわりに起こる出来事を見通し、汝に分かりやすく伝えてくれる。
情報は安くはない。
重い財布を用意していくことだ。



市民

商人……
ソーサリアに一番多い市民。
町に店を出して生計を立てている。
商人は賢い人間ばかりとは限らない。
汝のパーティーに腕のたつ盗賊がいたなら、愚かなる商人の鼻先をかすめて、宝箱をかっさらうことも可能であろう。
しかし、盗みが発覚したら、ただちに町中の衛兵が汝らにかかってくる。

衛兵……
怪しげなバーの入口に立っている用心棒どもと同類の連中である。
つまり、体はでかいが、脳味噌が無い。
町や城で、ひとたび犯罪が発覚すると、衛兵は犯人を町や城の外に追い出しにかかる。
衛兵を戦いで倒すことは難しい。
よく耳にすることだが、すべての衛兵がみな、真面目人間であるとは限らないようだ。

道化師……
おどけた芸で、ロード・ブリティッシュ国王陛下をお慰めする。
時として、旅人をからかう、うるさい存在でもある。

プレーヤータイプ……
汝の同志と同じ種類の人々、つまりプレーヤータイプの人々は、みな例外なく町や城の中に住んでいる。
会う人みなに話しかけてみるがよい。
秘宝のありかを知っている者も、中にはいるかも知れん。

怪物タイプ……
非常に稀ではあるが、町で怪物を見かけることがある。
彼らは闇に仕えることをやめ、平和を愛するようになった者たちなのだ。

ロード・ブリティッシュ……
すべての人民の偉大なる指導者である。
すべての人民の厚い支持を受けた君主である。
その支持者には、惜しみない報酬が与えられる。




地上の怪物

オーク、ゴブリン、トロール……
この3種類の害獣は、古代において魔法により創造された。
そのため、魔道系呪文によってその魔法を解き、この大地から消滅させることができる。

スケルトン、ゴール、ゾンビ……
これら生ける屍どもは、真実の光に照らさずとも、その存在は忌まわしい限りである。
僧侶は、このものどもを土に帰す術を心得ている。

プレーヤータイプ……
ごく昔通のプレーヤータイプの人々も、ひとたび闇の呪文をかけられたなら、魔王に仕える身に転落してしまうのである。

盗賊、すり、山賊……
ソーサリアの国土を我が者顔に荒らし回る、人間の屑と言えよう。
盗賊は、汝が身に着けている以外の装備を事もなく盗んでいってしまう。
山賊は、ときとして海賊船に乗り込んで海を荒らし回っている。

ジャイアント、ゴーレム、タイタン……
これと言って特別な能力があるわけでもないか、その巨体は、何者にも勝る武器となる。
これが振り回す巨大な槌には、細心の注意が必要であろう。

ピンチャー、バードル、スナッチ……
毒を持つ怪物である。
その牙に掛かった者は、体中の血管に毒が回り、祈とう系呪文を唱えるか、療養所に駆け込まぬかぎり、解毒することはできない。
毒に冒された者は、1歩あるくごとにヒットポイントがひとつずつ減っていく。
近くに療養所がない場合は、汝は屍と共に旅を続けることになるであろう

ガーゴイル、メイン、デーモン……
この地獄の悪魔どもと渡り合うときは、気を抜くでないぞ。
戦闘区域の端から端まで、強力な魔法を、縦横に投げつけてくる。
まともに受ければ、タメージは大きい。

グリフィン、ウィヴァーン、ドラゴン……
これらの生物は、遠くより汝のパーティーめがけて魔法のファイアーボールを投げかけてくる。
戦闘状態に入ることなく攻撃を仕掛けてくる、唯一の生物なのである。
うっかり3マス以内に近付こうものなら、手ひどい被害を被ることであろう。
グレートドラゴンともなると、ファイアーボールの威力は強力で、汝が戦闘態勢に持ち込もうとする前に、パーティーが全滅させられてしまうほどである。

デビル、オルクス、バルロン……
この地獄の戦士どもを打ち負かさんとするならば、汝は可能な限りの防御策を施さなければならない。
どんなに小さな防御の隙間も、命取りになると思え。
戦闘区域を縦横に撃ちまくる毒性の魔法の稲妻が、この邪心満ち溢れたる獣の武器である。
軽くかすっただけでも、毒が体内に回るため、体力を著しく奪われる。



海の怪物

海賊船……
たとえ汝が陸地にいようとも、海賊船が視界に入ったなら油断はできぬ。
彼らは3マス分の射程距離のある大砲で、汝を狙い撃ち、パーティーの同志全員にダメージを与えるであろう。
最も未熟な海賊でも、パーティーを全滅させるのに、大砲の弾をそう何発も必要としない。
沖合からの砲撃に対して、汝は反撃できないが、相手が接岸したならば、こちらから攻撃を仕掛けることができるのだ。

シーサーパント……
グレート・アーススネークの小型の親類であるが、船1艘を沈めることなど、朝メシ前だ。
戦闘態勢に入ると、彼らは海上より魔法攻撃を仕掛けてくるため、そうとうな苦戦を覚悟せよ。

メアウォー……
海洋生物の中で、最も恐るべき生き物である。
その太く長い触手には毒を持ち、魔法を操ることもできる。
どのような攻撃にも怯まない生来の強靭な体力が、メアウォーにはある。
これに遭遇して生きて帰れるチャンスは、万にひとつと言えるだろう。



冒険

モンデインとミナクスが滅びたことにより、溶かした蜂蜜のように平和はソーサリアに満ちていた。
ロード・ブリティッシュの臣民は、みな幸福を享受し栄えた。
大きな病巣が、この国から取り去られたことにより、人々の心は癒され、町には喜びが戻った。
ウルティマIIの年代記に刻まれているとおり、ミナクス城が陥落した後は、オーク1匹見当たらない平和が、20年間続いた。
それは、乳飲み児が立派な大人に成長するに十分な時間である。

ミナクス城の瓦礫の中から、闇の謎を解く鍵となる、ある記述の断片が見つかっている。
それによって、モンデインとその若き弟子ミナクスとの間には、ある種の同盟が結ばれていて、その同盟の結果として、何かが生み出されたらしいことが判明し たのだ。
それが人であるのか、物であるのか、はたまた悪魔であるのか、記述の断片は、不気味に沈黙するのみである。
地獄より湧き出た天才は、何を残したのか。
それを知る手立てはない。

砕け散り、地の底からは不気味な地鳴りが響きわたったのである。
そしてついにある日、燃え盛る溶岩の噴出とともに、海の真ん中に新しい島が誕生した。
その強烈な熱と水蒸気に阻まれて、何人たりとも新島に近付くことはできなかったが、しばらくすると、強風に水蒸気が払われた瞬間に、島の上に城が見えたと 吹聴する水夫が数を増していった。
が、しかし、大抵の場合、彼らは酒に酔っているため、当然のことながら、その話を信じる者はなかった。

そのころ、山野で甘い生活を過す人たちの歌声が、すっかり聞かれなくなっていた。オークどもが打ち鳴らすドラムが山谷を震えさせ、恐怖が霧のように流れ込 んできたのだ。
自然に囲まれて暮していた人々は、みな安全な町に移り住むようになった。
それから時を移さず、海賊船が姿を現わし、海上の経済は麻痺させられてしまった。
そしてついに、大地もねじ曲がらんばかりの悪の勢力が、西方に蜂起した。
グレート・アースサーパントが海の底から現れたとの話が伝わるや、人々は口々に、この世の終わりが近いと叫び出すようになった。

ロード・ブリティッシュは、乱れ飛ぶ噂の真相を究明するために、最も有能で信頼できる腹心を送り出した。
数週間後、彼は、精神に異状をきたし、城壁の茂みの中を彷徨っているところを発見された。
ある恐ろしい光景が、彼の理性を打ち砕いてしまったのだ。
彼は繰り返し、こう訴えるだけであった。
「地獄の底から……、あいつが復讐にやってきた」
復讐にきたのが何者なのかは不明のままだったが、広がりつつある悪の勢力は、誰の目にも明らかなものだった。
ロード・ブリティッシュは、かつての英雄を再び召喚することを決めた。
汝か今ここにいるのは、そのためだ。
汝は召喚の呼び声を聞き、それに答えたのだ。

汝に課せられた使命は、困難を極めるであろう。
悪は大手を振って闊歩し、出会う旅人をひとり残らず襲っている。
この旅から生きて帰りたければ、汝と汝の同志は、急いで成長しなければならない。
長いこと忘れ去られていた、真実と力の道を探し出すことだ。

汝か倒すべき真の敵の手掛かりは、掴めている。
つい先日、1隻の廃船が港に曳航されてきたのだが、その船には、乗組員がひとりも乗っていなかった。
死体すら見つからなかったのだ。
まるで、悪の力によって全員が連れ去られたかのようであった。
ただひとつ、残されていたのは、甲板に血で書きつけられたEXODUSという文字だけだった。

                                                 ロー・アダムス3世 1983年8月2日


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