Ultima7-2 Serpent Isle マニュアル
BEYOND THE SERPENT PILLARS

Ultima VII Pert2:Serpent Isle
BEYOND THE SERPENT PILLARS
A journal Describing this New World
by Erstam - Mage
Rendered into English by Andrew Morris - Scribe
Illustrated by Glen Johnson - Artist
(assisted by Gary Washington and Steve Powers)
Illuminated by Al Camley - Designer
Overseen by David Ladyman - Editor

サーペントの柱を超えて

この新世界に関する記録
魔道師アースタム著
翻訳 書記官アンドリュー・モリス
絵師 グレン・ジョンソン
(助手 グレイ・ワシントン スティーブ・パワーズ)
誌面構成 アル・キャムレイ
編纂 デイビッド・レディーマン


はじめに

Serpent Pillar(サーペントの柱)を見つける作業は、当初思っていたほど大変ではなかった。しかし、あの旅の興奮は、いまだ冷めやらない。柱のこちら側は、 まさに楽園だ。独裁者ロード・ブリティッシュから解放され、私は伸び伸びと、新しい魔法を学ぶことができた。ここには、まだまだ未知のものが多く存在して いる。あまりに珍しいものばかりなので、この頭に記憶しておくことはとうてい不可能だ。そこで、見たものすべてを書き記すことにした。
私の調査は、ひょんなことから意外なほどにすんなりと進んでいった。それは、ある廃墟を調査していたときだ。私は大きな白い半月形の塊を発見した。それは 両手でやっと抱えられるほどの大きさだった。それが、動物の骨であることはすぐにわかった。歯は見当たらなかったが、動物の顎の骨であることはすぐにわ かった。しかし、いったい、何の動物であろうか?
私は研究室に戻り、さらに骨を調べてみた。私は、この新世界とブリタニアとで描き続けてきたスケッチと骨を見比べてみた。こんなこともあろうかと、身の回 りのものを何でもスケッチする習慣をつけておいて、本当によかった。その顎の骨は、ヘビのものだとすぐに判明したのだ。ただし、大きさがまるで常識外れ だった。この島で見たヘビに関する文献を徹底的に調べてみた。ルーン文字で書かれたものも見逃さずにだ。そして、ついにあることを突きとめた。これは、こ の世界に暮らしていた古代民族の遺産であることがわかったのだ。彼らにとって非常に神聖なるもの。私が両手に抱えるこの骨の主は、かつて彼らに神と崇めら れていた生物だったのだ。

私は、もっと深い意味を知りたくなった。そこで遺跡に戻り、ほかに骨のようなものはないかと、あたりを掘り返したのだ。そしてついに、牙のようなものを発 見した。まもなく、もうひとつを発見した。これを抱えて研究室に戻り、顎の骨につなげてみると、驚いたことに、ドロジェニーの手袋のごとく、ぴったりとは まったではないか。
これにより、私は偉大なパワーを手中に入れたことになるのだが、半信半疑の私は、あれこれと実験を繰り返した。そして、必要な知識をすべて取り揃えるの に、そう時間はかからなかった。顎の骨に、牙を一定の法則に従ってセットすると、この島の別の場所へ瞬間的に移動できる道が開くのだ。
だが悲しいことに、私の大発見を妬む他の魔法使いどもが、ヘビの歯を持ち去り、どこかへ隠してしまった。そのため、もう島のあちこちへ飛んでいくことができなった。私があの連中と離れて暮らしているのは、そんな連中の卑劣な仕打ちのためだったのだ。


過去の教訓

私は、ひとつの理由によって、次の歴史をここに記すものである。これからこの Serpent Isle(サーペントアイル)に移住し、新しい繁栄の未来を切り開こうという我々は、過去を見つめ、先人たちの過ちに学ぶ必要がある。国家を統治する権力 は、ひとりの人間に集中させるべきではない。かかる権力の集中は、独裁者を生む。とくに能力に乏しい人間ほど、権力の誘惑に弱い。ここに記す歴史が意味す るものを、よく考えていただきたい。もし、私の肉体が朽ち果て、私の研究が無に帰したとしても、この文章は、少なくとも歴史の記録として残るであろう。
我々の世界で、歴史と呼べるものが始まったのは、不幸な国家統一の数百年前から始まったとされている。夢のような世界で、多少のいざこざがあったにせよ、 8つの王国が共存していた。我々が生まれ育ったこの世界は、ソーサリアと呼ばれていた。紛争は絶えなかったが、人々は、それなりに幸せに暮らしていた。 ロード・ブリティッシュですら、小国の国王として、公正な統治を行っていたのである。

第一暗黒期
あるとき突然、強大なパワーを持つ魔法使いが現われた。不死身の命を求める悪魔の化身、モンデインだ。ただ不死身の研究を行っていただけならよかったのだ が、彼は実父を殺害し、その秘密の鍵を奪ったのだ。そうして大きな力を得たモンデインは、ソーサリア征服を目論み、8つの王国に対して攻撃をしかけた。
自国の軍隊もろくに指揮できないロード・ブリティッシュは、なんと異世界よりひとりの英雄を呼び出した。この英雄の活躍により、恐ろしい魔法使いの陰謀は砕かれ、彼の破壊兵器であった力の宝珠も粉々に砕かれた。モンデイン自身も、同時に滅びたのだった。
この異国の英雄に関して、面白い記述がある。その当時、ソーサリアの各地で、七色の光に輝く魔法の門が目撃されるようになった。これらの門の出没は、この 世界をまわる2つの月、トレメルとフェルッカの満ち欠けに同期していたそうだ。かの英雄は、この門を通って現われたとされている。
はっきりとした理由はわからないが、モンデインの死とともに、この世界に大きな地殻変動が起こった。ソーサリアの1/3の大地が消え、まったく新しい土地 が形成されたのだ。これにともない、シャミノの国(Lands of Danger and Despair、Lands of the Dark Unknown、Lands of the Feudal Lords)の3つが消失した。そして、奇妙なことに、ロード・ブリティッシュの王国だけが残ったのだ。
しかし、そのとき失われた世界の一部は、今も残っている。それは、このサーペントの柱について調査を進めていくうちにわかったことだ。サーペントの柱は、 古くから海の底に存在していると船乗りの間では噂になっていたが、酒に酔った水夫のたわ言だとされてきた。また、2つの月が両方とも水平線の上に出たとき にだけ海面に現われるという話もあった。太陽もいっしょに出ていないとダメだという説もある。さらに、真冬のいちばん寒いときにだけ現われるという噂も あった。こうした古くから伝わる数々の推測や言い伝えを総合した結果、私は、移民団を引き連れてこの地を目指す決意をしたのだ。じきに、もっと多くの人た ちが渡ってくるようになるだろう。

第二暗黒期
モンデインが滅びて数年後のこと。我々は第二の暗黒期に突入した。モンデインの弟子であり愛人でもあったミナクスが、師匠を超える魔力と憎悪を持って、 ソーサリアの人々に対する復讐を開始したのだ。ミナクスは、死者の軍団をひきつれ、過去に遡り、人々の知らない古代の世界にまで攻撃の手を広げた。
無能の王ロード・ブリティッシュは、ミナクスの前に成すすべもなく、またしてもかの異国の英雄に頼らざるを得なかった。この情けない支配者の要請に答え て、神秘の英雄は再び現われた。彼とミナクスの死の軍団との戦いは長期に及んだが、結局、ミナクス軍団は英雄に滅ぼされたのだった。

第三暗黒期
ソーサリアには、まだ悪の病根が残っていた。モンデインとミナクスが生み出した恐ろしい生物が、人々の知らないところで育っていたのだ。人でもない、機械 でもないこの怪物は、グレートオーシャンの海底から突如として現われ、両親を死に追いやった人間たちへの宣戦を布告したのだ。
そこで、三度、ロード・ブリティッシュは助っ人を呼び出した。今度の敵は、エクソダスと呼ばれる存在だ。エクソダスは、その両親をはるかに超えるパワーを 人々に見せつけた。さすがの英雄も、単独で立ち向かうのは困難と判断し、タイムロードを呼び出した。そして、その神秘の存在と力を合わせて、エクソダスを 崩壊させることに成功したのだ。かくして、第三の暗黒期は幕を閉じた。
(メモ:タイムロードを探すこと。その知識と長寿の秘密を探るべし)

その後の時代
ついに、ソーサリアに本当の平和が訪れた。ロード・ブリティッシュは、ソーサリア救済の責任を感じ、なんとか生き残った王国を無理やり統合した。彼は、新 しい統一王国をソーサリアと名づけ、自分で自分を王に推薦した。さらに、この身勝手な国王は、自ら考案した、Virtues(徳)なる道徳思想を国民に押 し付けたのだ。
徳の思想を定着させるために、彼は、各地に徳の神殿を建設した。そのうちの3つは、エクソダスの本拠地であった、Isle of Fire(炎の島)に建立されたのだ。さらに、暴君ロード・ブリティッシュは、己の独善的道徳思想を体現する徳の化身、Avatar(アバタール)となる 人間を求めたのだ。
やがてロード・ブリティッシュは、徳の名のもとに、彼の倫理観を法制化してしまった。この圧制が生んださまざまな問題に関しては後でゆっくり述べるつもり だが、これが、我々の新世界への移住を決断させた最大の原因となった。フォーン、モントースをはじめとする高い知性を持つコミュニティーや、ムーンの魔法 使いの有志たちが、秘密会議に代表を送り、移住の可能性について語り合ったのだ。そして、私の調査と研究で得られた情報を元に、サーペントの柱……今日、 サーペントアイルと呼ばれているこの新世界を探す旅に出発したというわけだ。
旅は長く過酷だった。そのため、途中で根を上げる者も少なくなかった。私も諦めかけた。だが、そのときだ。船は激しい嵐に襲われた。今にも船体がばらばら に砕けてしまうと思われた瞬間、ひとりの水夫が遠くに大きな2本の柱が海面からそびえているのを発見したのだ。まるで引き寄せられるかのように、船は速力 を上げて柱に近づいていった。柱に近づくにつれ、期待と不安の気持ちが私たちのなかで交錯した。そして突然、まばゆい白い光に目がくらんだかと思うと、す ぐに光は消え、いつの間にか嵐も去っていた。見張りの者は、空が変わっていることに気がついた。星の位置がまったく違っているというのだ。つまり、新しい 星座を覚えるまで、星を頼りに航行することができなくなってしまったということだ。しかし幸いなことに、翌日の昼間のうちに、我々はこの新天地に接岸する ことができた。
ソーサリアの歴史については、これ以上のことを私は知らない。アバタールになれた人間がいたかどうかも、その後のことはまったく関知していないのだ。せいぜい、ブリティッシュは第四暗黒期を自ら招き、またしてもあの異世界の英雄に助けてもらっているのが関の山であろう。
この世界に到着してからの我々の歴史には、ほとんど語るべきことはない。つまり、争いがなかったということだ。我ら移民団は、ムーン、フォーン、2つの姉 妹自治区からなるモントーという、ソーサリアの主要3都市の出身者で占められていた。そこで、不要な混乱を避けるために、同郷者同士が集まって、出身地に ちなんだムーンシェード、フォーン、モニトーという3つの集落を作って暮らすことにしたのだ。我々の約束は、平和共存だった。しかし、実際には集落同士の 交流はほとんどなく、後に発見された古代人の街道を通って、わずかばかりの旅人が、わずかな情報交換を行う程度にとどまっていた。
サーペントの柱を抜けてソーサリアに帰ろうと訴える者たちもいるが、その呼びかけに応じる者はいないだろう。どう考えても、柱を通ってソーサリアに戻ることは難しい。柱を抜けられたとしても、無事に陸地にたどり着ける保証はどこにもないのだ。

ヘビの歴史
我々は最初、この新世界を“ニュー・ソーサリア”と呼ぼうと決めていた。しかし、実際にここに到着してみると、別の名前のほうが相応しいと思えるように なった。島のあちらこちらに廃墟が点在し、先住民の文化の面影が色濃く残っていたからだ。なかでも目立ったのは、倒壊した建物の表面に刻まれた、独特なヘ ビを象った無数の文字群だった。それらの古代言語を研究した結果、この島をヘビの島“Serpent Isle”と呼ぶのがもっとも適当であると結論したのだ。ここには、人工の遺物はさほど多くはないが、調査すべきものは多い。
私は、ひとつ面白いものを見つけた。いや、2つのものと言ったほうが正確だろう。ひとつは、大蛇の顎の骨だ。これについては本書の冒頭で詳しく述べた。も うひとつは、このヘビの骨の特殊な瞬間移動の力を使って各地へ飛びまわり、調査をしていたときに、ある遺跡から発見した巻物だ。私は時間をかけて、そこに 書かれていた古代文字を解読した。そして、複数のヘビの並び具合によってさまざなな意味をもたらす彼らの言語を翻訳していくうちに、私はこれが、この土地 に大昔に住んでいたすべての人たち、いや、人ではないかもしれないのだが、とにかく彼らの信仰について書かれていたものであることを突きとめた。その内容 を、いずれ何らかの役に立つことを期待して、ここに記す。


来世の者たちへ

余は急いでこれを記す。Order(秩序)軍は、すでに砦の外壁を破壊した。これほど大勢の民衆が、外の世界へ脱出し、未来へ子孫をつないで行くことがで きるかどうか、余には保証ができぬ。余はただ、これなる走り書きが、我らの神聖なる哲学を後世に伝える助けになればと願うのみである。
もし、我らの文化が、時を超え、いずこにおいてか、貴殿の手によりて再発見された暁には、我らが民の声を広く世に伝えていただきたい。
我らが言葉に込められた魂を解放し、古人のすばらしい英知を見直していただきたい。
Balance(均衡)それは、Order(秩序)とChaos(混沌)の2つのPrinciples(原理)の間に存在する調和であり、我らが真実とし て掲げる唯一にして純粋な定理である。この3つの原理は、ひとつのシンボルで表わされる。均衡の守り神、グレート・アース・サーペントがまっすぐ縦に伸び ているまわりを、秩序と混沌という相反する2匹のヘビが互いに巻きつくように取り巻いている。
混沌と秩序は、それぞれ3つのForce(力)を内包している。この6つの力が合わさると、均衡の3つの原理が構成される。混沌の力は、 Tolerance(許容)、Enthusiasm(熱情)、Emotion(情緒)である。秩序の力は、Ethicality(倫理)、 Discipline(鍛錬)、Logic(論理)である。

Chaos(混沌)
・Tolerance(許容)は、すべてのものを受け入れるよう促す力である。
・Enthusiasm(熱情)は、人を動かし、大きな目標を達成させる力となる。
・Emotion(情緒)は、心より湧き上がる感情を受け止め、理性の抑制に対抗する力である。

Order(秩序)
・Ethicality(倫理)は、行動を規制することに大きな価値があるとする信念である。
・Discipline(鍛錬)は、妨害を負けることなく目的を達成しようと努力することである。
・Logic(論理)は、感情を排した明確で論理的な考えである。

Balance(均衡)
混沌と秩序の力をひとつずつ合わせることで、均衡の原理が生まれる。
・Tolerance(許容)と Ethicality(倫理)が合わさると、Harmony(調和)が生まれる。己と他人とそれを取り巻く世界との間に平和をもたらす力である。
・Enthusiasm(熱情)と Discipline(鍛錬)が合わさると、Dedication(貢献)が生まれる。障害を乗り越え他人を導く力である。
・Emotion(情緒)と Logic(論理)が合わさると、Rationality(合理性)が生まれる。人生と世界を理解する力である。

この世界は、我らがもっとも敬愛していたはずの定理、均衡を軽んじたために、かかる崩壊を招いた。もし、貴殿の時代が平和な世であったなら、どうか、この サーペントアイルに均衡を取り戻していただきたい。敵はすでに余の書斎のドアを激しく叩いている。ここでペンを置かざるを得まい。貴殿の世界が、我が世界 よりも幸運に恵まれることを願っている。

高級公式解説者 エシスノス


これを書いた人間は、かなりの高い地位にあったことは確かなようだが、この見なれない肩書き以外に、この人物の素性を示すものはなにもない。この走り書き の意味するところと、あの世界を滅ぼした戦争について、もっと詳しく調べる必要があるだろう。ここに、この島の歴史について、わかった限りのことを書く が、その後に解明されたことがあれば、加筆していこうと思っている。

文字 ヘビ文字とルーン文字

これは、私が解読した巻物に書かれていた、彼らの文字の写しである。解読が難航した理由が、これを見ればおわかりいただけるだろう。我々の感覚からかけ離 れた法則によって文字の組み合わせが作られているためだ。そのため、私の解釈も完璧とは言いがたく、これをもとに彼らの言語を研究されようという諸君は、 どうか、私の誤訳を大目に見てやっていただきたい。あとは諸君の独自の研究に期待する。

ここに、ドルイドが使用していたルーン文字も併記する。あくまでも参考としてだ。しかし、ルーン文字とヘビ文字との間には、なんらかの関連があるようにも感じられる。いずれにせよ、文字の研究は、古代の人々の文化を知るうえで非常に重要である。



旅のガイド

町と村
この新世界には、3つの町がある。数々の困難に見舞われながらも、住民たちの努力により、今では自立した大きな町に発展し、独自の行政システムや法律も整備されつつある。


Fawn(フォーン)
ソーサリアにあるフォーンからそのまま名前を頂いた、非常に変わった村である。ソーサリアのフォーンは、美こそ価値ある特質と解く麗しき女王、レディー・ フォーンから名前を頂いている。フォーンの町も、美の価値を重んじていた。レディー・フォーンが亡くなったあとも、表面的ながらも、美の価値を大切にする 心は受け継がれている。港町フォーンの主な産業は、造船、漁業といった海に関連するものである。フォーンの通貨は、Filari(フィラリー)である。

Monitor(モニトー)
戦士の町ではあるが、その故郷である2つのモントーとはずいぶん様相が違う。モニトーは、早い時期に、Bear(熊)、Wolf(狼)、Leopard (豹)の3つの派閥に分裂してしまった。3派とも勇気をもっとも価値ある精神として重んじていることには変わりないが、今では、彼らの勇気も、崇高なる人 生の目標と言うよりは、小競り合いの目的に成り下がってしまっている。勇気そのものの定義を巡って争いが起きるほどだ。彼らの気骨を試す試験を実施しよう という計画があるが、これもなかなかまとまらないであろう。モニトーの通貨は、Monetari(モネタリー)である。

追加情報:私の予想を大きく裏切り、3派は協力し合って意外に早くも試験の内容を固めたのである。200年以上もの間に、彼ら同士の関係は非常に希薄に なってはいるものの、はっきりとした境界線は今でも残っている。彼らは、自分たちの派閥の印である動物を象徴する色で、顔に刺青をしている。

Moonshade(ムーンシェード)
ソーサリアでも、この新天地でも、この名前の町は、私と同じ職業の人間が中心となって運営している。我ら魔法使いは、ロード・ブリティッシュの独善的な法 律から逃れるために団結し、フォーンとモントーの人々と共に、サーペントの柱を目指したのだ。この地に到着するや、我々は、Isle of Beyond(ビヨンド島)の湖岸に腰を落ち着けた。以来、今日まで、我々は、住民合意の上での魔法使いの評議会による自治を進めてきた。ムーンシェード では、通貨はGuilder(ギルダー)と呼ばれている。

追加情報:町は豊富な天然資源に恵まれているため、多くの職人がここに住みつき、木工製品、ガラス製品、武器、ワインなどを生み出している。魔法のための 秘薬も重要な商品になっている。これには、私同様、多くの魔法使いが不満を抱いているが、仲間の魔法使いの堕落ぶりには、私は我慢がならない。べラグドー ルなどは、私を変人扱いするようになった。だが、ヤツらが何を言おうと、どんな低レベルな魔法を使おうと、私には関係ない。私は研究を重ね、彼らとは段違 いの実力を身につけているからだ。

さらに追加:私はムーンシェードを出る羽目になった。他の2つの町と同様に、ムーンシェードも大きく発展した。私はそれを誇りに思っている。だが、発足当 初から私が問題を指摘してきた Council of Mages(魔法使い評議会)のくだらない言い争いが私を悩ませ、神経をすり減らせた。現在、評議会は、ひとりの魔法使いの実力者によって牛耳られてい る。彼は事実上の王となっているのだ。そのため私は、彼らから離れ、こうして真の魔法の研究に没頭しているのである。


その他の名所

Swamp Of Gorlab(ゴーラブの沼)
この湿地帯には、ある恐ろしい秘密が隠されているのだが、超自然的力によって秘密は解き明かされないままになっている。沼に入ることはできない。なぜな ら、沼に近づこうとする者はみな、強力な睡眠作用によって眠らされてしまうからだ。多くの目撃証言が、この噂の信憑性を語っているが、自分の目で確かめる 必要がありそうだ。

追加情報:なんとも驚くべきことに、噂は真実であった。私のこの目が、それを教えてくれた。しかし、実を言うと、本当に眠らされる前に、大変な恐怖を憶えた私は、その場を命からがら脱出したのだ。

Mountains of Freedom(自由山地)
ムーンシェードの北にそびえる山々である。山の頂きも谷も、さして面白いというわけではないが、大きな社会の不快な側面に嫌気がさした人たちは、みな孤独 を求めてこの地を目指す。自由山地の洞窟を監獄として利用するという噂を聞いたことがあるが、これには笑った。しかし、具体的な計画がどれほど進んでいる のかはわからない。

Spinebreaker Mountains(スパインブレイカー山脈)
実際のところ、この山脈の名前と位置しか私は知らない。しかし、その地下には無数の穴や洞窟が張り巡らされているという噂がある。

Western Forest(西の森)
この森には、悪性の野獣が生息しているという。私はまだ西の森への行き方がわからない。また、西の森に入って、無事に帰ってきたという人の話も聞かない。


産業と経済
より多くの情報を盛り込もうと、私はこの章の執筆をできるだけ後回しに延ばしてきたのだが、この島の経済システムは、意外なまでに急速に発展し、安定して いるようだ。我々の資産は、この200年間というもの、まったく減る気配を見せていない。私は、ソーサリアでは常識とされていた愚かな貨幣経済を根本から 覆したいと願っていたのだが、物々交換は、大多数の人間にとっては手間のかかる面倒なシステムだったようだ。どうやら、私は貨幣経済に妥協せざるを得ない ようだ。ともかく、この世界での貨幣経済の実践者たちを紹介しよう。

農民
農民は、家畜の飼育を生業とする者と、農作物の栽培を生業とする者の両方を指す。寒い北部と違って、島の中央部は気候が温暖で安定しているため、我々がこ こへ移住してきた当初と変わらぬ方法で、今も農民たちが作物や家畜を育てている。農民に出会えたなら、卵やニワトリや果物などの食料を分けてもらうことが できる。

商人
貨幣経済の主役とも言える職業である。商人は、商品を大量に安く買い入れ、少量ずつを高い値段で売る。物々交換でこの習慣をなくそうというのは難しいが、 少なくとも価値の安定は得られる。教養のある人間なら、己の需要に照らし合わせて、相手の物やサービスの正しい価値を判断できるからだ。

酒場
私は滅多に酒場というところへは行かない。酒場にたむろする連中の話す内容は、私が研究によって得た知識とはまったく次元の違うものであり、情報的価値は 皆無だからだ。また、酒場の飲み物や食事も、家に上等なパンとバターがあれば、敢えて出かけて行くほどのものではない。しかし、歌や冒険の物語や噂話を聞 きたいというのなら、酒場はうってつけの場所であろう。

宿屋
凍てつく天候に旅人が命を奪われる事件は後を絶たない。とくに夜の冷え込みは厳しいため、安全で快適な一晩を宿屋に求めるのは賢明なことだ。値段は安くな いが、長旅の疲れを癒してくれること考えれば、納得できる。古代の街道Serpent Highway(サーペンツハイウエイ)沿いにあるSleeping Bull(スリーピングブル)という宿屋は、私のお勧めだ。快適な一晩を過ごすことができる。そこはかつて私の宿敵が経営していたのだが、彼はもうこの世 を去って久しい。現在は、ずっと善良な人間によって運営されている。

雑貨商
商人の中でも、おそらく唯一、存在価値のある真の商人と言えるだろう。彼らは贅沢品ではなく、生活必需品を扱う。この世界に渡ってきたすぐのとき、我々は 大量の日用雑貨が必要となった。それを見て、一部の人たちが雑貨商の道を選択した。彼らは、寝床と食事と引き換えに、日用雑貨を提供するという商売を始め たのだ。ロウソクや羊皮紙が切れたとき、私はまっすぐに雑貨商の店へ行く。

魔法使い
私の専門技術を生業とする連中だ。魔法や秘薬を売って生計を立てている。ムーンシェードのペテン師どもがこれに当たる。魔法はとかく物が要る。そのため に、背に腹は変えられず、己の技を金に換える魔法使いがいる。そんな風にはなりたくないものだと願いつつ、私は、相応の良識的魔法の上級者から要請があれ ば、よろこんで私の知識を分け与えるつもりでいる。そのような魔法使いが私のほかに存在すればの話だが。

細工師
細かい道具や小間物を自らの手でこしらえる職人たちである。非常に数が多い。私自身、そのようなチャラチャラした物を買うことは滅多にないが、これがなか なか人気である。私の偏見に満ちた解説によって諸君に誤解を与えてはいけないので申し上げておくが、彼らの腕前はかなりのもので、非常に美しいものを作り 上げている。ただし、日常の役に立つものにあらず。

金工職人
金属加工を専門とし、1日中、金床の前でハンマーを振るう大変な体力を要する職業であり、この技術は安々と身につくものではない。なかでも、武器や防具の 製造販売を専門とする者たちは、武具職人とか、単に武器屋と呼ばれることもある。そのほかの金工職人は、日常の工具や、食器、刃物などを作っている。彼ら の技能を魔法と称する者もいる。実際に魔法が使われているわけではないのだが、彼らの手は、まさに魔法そのものである。

ヒーラー
我ら魔法使いにも、いまひとつ完全に理解できない魔法の技が、ヒーリングである。ヒーラーたちは、薬草や適切な措置を施すことで、患者本人の自然治癒力を 高めるにすぎないと説明するのだが、魔法の力なくして、そううまくはいくまい。私は、ヒーラーが薬を塗ると、一瞬にして傷口が消えてなくなるという場面を 幾度となく目撃しているが、あれは間違いなく魔法の作用である。

薬剤師
この土地に町ができて間もないころ、一部の住民が、薬草などを採取して加工し、魔法の薬を作り始めた。飲むと自分の体が透明になる薬や、人を眠らせる薬、 または何もせずに消えてしまう薬などだ。魔法の薬は大変に高価なものだが、これを手に入れたなら、魔法使いでなくとも、単発の魔法が使えるようになるのだ から、それなりの価値はある。

仕立て屋
糸から生地を織り、それを美しい服に仕立てる技は、まさに芸術である。この数百年の間に、ファッションの流行はいろいろ移り変わってきたが、服を仕立てる 作業は、いつの世でも変わりなく、厳しく辛く、とても自分ではできないことである。そのため、私はいつも、仕立て屋のお世話になっている。

船大工
この新天地の島々を自由に渡り歩くことは、魔法を使わない限り、一般の人間には難しかった。そこで、魔法の恩恵にあずかることのできない不幸な人々のため に、海上交通の手段である船を作って売る職人が現われた。そして、高価な船の盗難を防ぐために、サーペントアイルでは、船の正式な持ち主に対して、所有権 を証明する証明書を発行した。

追加情報:海上を行き来する人がめっきり少なくなり、この数年は、新しい船が建造されたという話は聞かなくなった。そのため、船大工の多くは別の職業に鞍替えし、かつては価値のあった船の証明書も、今ではほとんど意味のないものになっている。


人生の針路
商人や職人として一生を終えるのは、あまりにも退屈だと考える人たちがいる。彼らは、スリルと名声を求めて冒険に出る。最終的な人生の目的はさまざまであ り、冒険も、前人未到の地を歩こうとする者がいれば、未知の文明社会を旅して多くを学ぼうとする者もいる。また、栄光と名誉をひたすら追い求める者もい る。何を目指そうとも、冒険は、常に次の2つのものをもたらす。それは、知識と危険である。

Fighters(戦士)
町を一歩出たなら、そこは危険に満ちた荒野である。いや、町の中にすら危険は潜んでいる。サーペントアイル固有の怪物は、人間に対して激しい憎悪を持つも のが多く、大変に狂暴である。知覚器官を持たない植物にすら、防衛のために大変に危険な武器を持つものがいる。戦士は、防具を身につけ武器を手にし、こう した自然の生物や異世界の怪物に立ち向かうことを信条としている。戦士の鍛錬には、長い旅に出て手練を積む方法もあれば、いきなり実戦を行い自らを鍛えて いく方法がある。いずれにせよ戦士は、ごく早い時期に、強さと敏捷性と防御力の大切さを実感することになる。これらがひとつでも欠けたなら、即、死につな がるからだ。冒険家には、武器の扱いに長けた戦士タイプの人間が多い。その腕を買われて、町の警護にあたる戦士たちもいる。

Bards(吟遊詩人)
戦士にして歌手にして語り部にして賢者。吟遊詩人は多才である。素早い機転と研ぎ澄まされたクロスボウの腕は、冒険者の世界では冒険に欠かせぬ存在となっ ている。戦士は、己の英雄的活躍をこと細かに観察し、鮮やかな表現で人々に宣伝してくれる存在として彼らを求め、我々魔法使いにとれば、普段からあまり人 付き合いをしないために他人との交渉事が苦手な部分を補ってくれる、彼らの外交的な性格が助けになる。つい最近、吟遊詩人の善し悪しを判断するための、こ んな言葉を聞いた。これがなかなか言い得ているのだ。「吟遊詩人の社会的価値は、いかに歴史を上手に語るかによる」というものだ。

Mages(魔法使い)
魔法使いの説明は、この後で書くことになっている魔法の解説を読んでもらったほうが、本当のところをわかっていただけると思うのだが、ここでは、若者がこの魔法という神秘と無慈悲の世界に足を踏み入れようとする動機となる要素を、簡単に列挙しておく。
魔法使いの間には、こんな諺がある。
「魔法使いは生まれつくものであって、成るものではない」
魔法は幼いころから修行を始めるものであるため、この諺はある程度は正しい。私は、幼いころから魔法の才があったことを、今でも憶えている。私は、それが 何であるかを理解できる年齢に達する前から、エーテルの波動を感じていたのだ。まさに、感覚の爆発である。それから数年も経たないうちに、私は秘薬の採取 を始めた。それらの天然の素材に、不思議な安らぎを感じていたのだ。しかし、生まれつきの才能に恵まれた者ばかりが魔法使いになるわけではない。私が知っ ている大変に有能な魔法使いのなかには、別の職業を極めてから、この道に転向したという者もいるのだ。
我々魔法使いは、一般的な信念を脇に置いて、非現実的な理論を理解する鋭い感覚を生まれながらにして持っている。吟遊詩人も、なんとかうまくやっているよ うだが、本当の意味で、目に見えないエーテルを捕まえ、意のままに操ることができるのは、魔法使いだけだ。そのため、魔法使いを怒らせると大変なことにな る。4つの元素を操り荒れ狂ったときの破壊力は、他に比べようがない。


武器と防具
私は武器も防具も必要としないが、世間一般の旅人たちは、これなしにはやっていけない。長生きをした冒険家に聞くと、みな、武器と防具を慎重に選んでいる ことがわかる。武器などは使ったことがないので、私自身の体験からお教えすることはできないが、口の軽い自称英雄どもの武勇伝は否応なく私の耳に入るため に、諸君に語るだけの情報は十分に持っている。

鎧と盾
鎧の目的は、敵の攻撃を回避することにあるのではなく、攻撃によるダメージの吸収あるいは軽減にある。通常、鎧は、体の主要な6つの部分を防護するための パーツから構成されている。なかでも、もっとも重要な部分は、胴体、首、頭の3箇所である。ここは誰もが本能的に大切な部分だと知っているので、自然と、 末端の部分よりも大切にする。しかし、手足も生きていくためには重要な部分であるに変わりない。結局、もっとも重要な部分以外の3部分、腕、脚、足を含め た6箇所すべてを、しっかりと守るのが一番ということになる。手足が失われても、命に別状はない。だが、敵の攻撃に直接さらされることが多いのは、手足で ある。言いかえるなら、手足がいちばん攻撃を受ける場所なのである。
防具の素材には、Leather(革)、金属片をつなぎ合わせたScale(スケール)、金属の輪をつなぎ合わせたChain(チェーン)、そして、鉄の 板Plate(プレート)がある。一般に、素材が厚ければ厚いほど防御力が高くなる。同時に、厚くなるほど重くなり、値段も高くなる。革は、軽くて価格も 安いが、強い相手とはほとんど顔を合わせないという戦士向けである。戦乱の地へ革の鎧で乗り込む戦士がいたとすれば、金がないか、金属の鎧を着るだけの体 力がないか、さもなければ、頭がイカレているかだ。
Shield(盾)も、鎧と同じ防具の仲間であるが、形はまったく異なる。盾は、攻撃のダメージを吸収する力は少ないが、敵の攻撃を脇へそらす働きがあ る。私にはその違いがよくわからないが、戦士たちに言わせると、大違いなのだそうだ。熟練した戦士は、まず最高の鎧に身を固め、さらに、予算と、それを持 ち歩く体力が許す限り、最強の盾を装備している。

武器
聞くところによると、武器の定義とは、攻撃者の攻撃範囲を広げ、攻撃力を高めるための道具とのことだ。じつに論理的である。私もこれに異存はない。
武器の選択も、防具の選択同様、慎重に行わなければならない。武器には、打撃系、刀剣系、槍系、飛び道具系の、4つのタイプに分類される。だが、すべてが明確に分けられるわけではなく、折衷型の武器も存在する。多機能であれば、それだけ攻撃力も高くなるというわけだ。
Sword(剣)は、非常に便利な武器だ。鋭い刃は、敵の皮膚を容易に切り裂くことができる。最大の欠点は、防具によってその威力を大幅に低減されてしま うことだ。逆に、Mace(メイス)やclub(棍棒)といった打撃系の武器は、相手に与えるダメージ量が使用者の体力に左右されるという欠点はあるもの の、防具の強弱に関係なくダメージを与えることができる。
第三の武器、槍系は、比較的小さな力でも鎧を貫通することができ、相手に大きなダメージが与えられる。そして、飛び道具は、遠く離れた場所から敵を攻撃できるのが最大の特徴だ。
私が見る限りにおいては、これらの武器はどれも、機能的に重なる部分が多いようだ。Sword(剣)は切るものだが、突き刺すこともできる。Two- handed sword(両手剣)は、“叩き”切るといった感じだ。Spear(槍)は投げれば飛び道具になる。Sling(スリング)の石は、飛び道具であって打撃 系武器でもある。
基本的には、戦士個人の長所を活かし、短所を補う攻撃方法を発見し、それに適した武器を選ぶのが理想だ。私の場合は、はっきり言って、Vas Corp Hur の魔法が最良の武器ということになる。



生物
私が予想していたとおり、ここの生態系は、ソーサリアのものとよく似ていた。その昔、ソーサリアの一部であったこの島は、モンデインの時代から、ほとんど 変化していない。しかし、この土地の生物をつぶさに観察し、ソーサリアでそれに対応する生物と比較することは、地味な作業ではあるが、私にとっては有益で あった。もちろん私は、この島固有の未知の生物も数多く存在するという確信も抱いている。だがその発見の手柄は、私以外の多くの冒険家たちに譲ろう。新生 物が発見されたなら、私はただちにこのリストを更新することを約束する。

Acid Slug(アシッドスラグ)
通常のスラグ(ナメクジ)よりもずっと大型で、地中深くに生息する。体表を覆う粘液は金属をも溶かすほどの強い酸性で、もちろん、人の体もこれに触れたらひと溜まりもない。ソーサリアのアシッドスラグと同様、こいつを退治するもっとも効果的な武器は炎である。

Alligator(アリゲーター)
大型の水棲爬虫類である。動作が素早く狂暴だ。手足と尾を存分に使って攻撃してくる。

Bat、Giant(大コウモリ)
その名が示すとおり、大変に大型のコウモリである。コウモリは、暗闇でも他の動物を感知できる能力を持つ、空を飛ぶ哺乳類だ。おもに洞窟に棲むが、洞窟以外にも、暗い場所で見られることが多い。

Bear(熊)
立ち上がると人間の背丈を優に越える大型の動物。強力な牙と爪をもち、人の体を簡単に引き裂いてしまう。敵にまわせば大変に恐ろしい相手となる。とくに、彼らの巣が脅かされたときは、狂暴化する。

Bear、Polar(北極熊)
温暖地帯に棲むクマと同様、これもまた恐ろしい肉食獣である。温帯のクマとのもっとも大きな違いは、その純白の毛皮であろう。北極グマは寒い地域に生息し、冬眠の期間も、他のクマよりも長いという特徴がある。

Bird(鳥)
この島には、さまざまな種類の鳥が生息している。なかでももっとも多く見られるのが、銀色の羽をもつ、とくに魅力的とも言えない平凡な種類だ。果物や野菜 を主食とする彼らが人を襲うことは滅多にないが、攻撃的な種類もないわけではない。もっともカラフルな鳥として知られるオウムは、人の言葉を話すという噂 がある。

Boar(イノシシ)
大変に気性の荒い獣である。その肉は非常に美味であるが、牙に突かれて怪我をすることを恐れて、多くの人間は、より安全に入手できる肉に依存している。

Cat(猫)
しわくちゃの節くれ立った魔法使いの姿(まったく魔法で消し去りたいようなステレオタイプだ)とセットで登場する動物である。人が暮らす町の奥まったところで、ごく普通に見られる。じつにうっとうしい連中であるばかりか、都市生活者のしたたかさも備えている。

Chicken(ニワトリ)
飛ぶ力が退化した、非常に臆病な鳥である。ニワトリは、肉も卵もじつに美味だ。私はまだ、野生のニワトリというものを見たことがない。

Corpser(コープサー)
この恐ろしい悪魔の正体を詳しく解説した文献は、いまだに存在しない。なぜなら、これに近づいたものは、みな食い殺されてしまうからだ。しかし、その存在 を知ることはできる。人の気配を感じると、コープサーは地中から長い触手を突き出して、獲物を引きずり込もうとする。アシッドスラグと同様、コープサーを 倒す唯一の武器は炎である。

Cow(牛)
食肉と乳製品を我々に提供してくれる大型の家畜である。

Cyclops(サイクロプス)
人間の姿をした巨人である。最大の特徴は、顔の真中に光るひとつの目だ。棍棒や岩石など、打撃系の武器を好み、非常に大きな破壊力をもたらす。

Daemon(デーモン)
悪意に満ちた赤鬼である。こちらの好意とは裏腹に、あちらは人間をひどく憎んでいる。彼らは自分たちのことを“ガーゴイル”と呼んでいるが、どう呼ばれようとも性格は変わらない。

Deer(鹿)
森に棲む動物。肉は食用になる。しかし、彼らに危害を加えようとする者に対しては、角を立てて反撃してくる。

Dog(犬)
人にとって、何かと役に立つ動物である。ハンターの伴として、大人たちの手助けとして、子供たちの遊び相手として、また家庭の番犬として、イヌは人間の最良の友と言えるだろう。

Dragon(ドラゴン)
ソーサリアの空を飛ぶ獰猛な爬虫類によく似ているが、こちらの世界のドラゴンは、見た目が少し違っている。アイスドラゴンと呼ばれるこの地のドラゴンは、青白い鱗に覆われ、口からは強烈な青い炎を吐く。

Fish(サカナ)
川で採れる食料という以外に、これといって書くべきこのない生物である。大型のものは、高い知能を示すことがあるが、私にしてみれば、おいしく料理されていれば、どちらでもよい。

Fox(キツネ)
オオカミやイヌの小型の親戚である。知恵者であり、小さな動物を捕らえて食べている。

Frost Serpent(フロスト・サーペント)
ソーサリアのシーサーペントの遠い親戚にあたる。北海の冷たい海域に生息している。

Gazer(ゲイザー)
空中を浮遊する不気味な肉の塊である。ゲイザー(見つめる者)という名前は、それが持つ無数の目に由来する。本体中央には大きな目があり、その他の小さな目は、本体から伸びた触手の先端にある。ゲイザーを殺すと、中から虫の大群が飛び出すといわれている。

Ghost(ゴースト)
死んだ人間の魂がこの世に現われたものである。気分次第で空中をさ迷う幽霊は、自然法則をまったく無視した存在と言える。かつて己が宿っていた肉体を守ろうとするのだろう。彼らは己が命を落とした場所に引き寄せられる性質がある。

Goblin(ゴブリン)
古代人の魔法の実験によって生まれた生物である(どう見ても、実験が成功したとは思えない)。どことなく人間に似ているのは、人間をもとに作られたから だ。一時は、彼らを教育して文明化させようという試みもなされたが、本能をおさえるだけの理性が、彼らには欠如しているようだ。
 
Gremlin(グレムリン)
常に集団で行動しているため、個体としての特性を観察することがきわめて難しい。大変に臆病な生物で、群れで人を襲い、おもに食べ物を奪って逃げる。この とき、人を傷つけることは滅多にない。未確認情報ではあるが、聞くところによれば、魔法をつかうグレムリンもいるという。
 
Gwani(グワニ)
人と猿の中間的な白い毛皮に覆われた動物である。奇妙な生物ではあるが、魔法で作られたという感じは受けない。自然の進化から生まれたものと考えられる。 彼らが魔法に関係していることを示す証拠もない。彼らの行動を観察していると、初歩的な文明を持っていることがわかる。彼らは、彼らの居住地である氷の世 界で、死者を葬る習慣があるのだ。彼らとコミュニケーションを取ることができたなら、さぞ面白い研究ができるだろう。

Harpy(ハーピー)
人間と鳥を掛け合わせたような恐ろしい姿は、外観同様、その性格も非常に狂暴で恐ろしい。ハーピーは、鋭い鉤爪を突き出して、上空から獲物を襲うことを得意とする。

Headless(ヘッドレス)
その名が示すとおり、頭のない生物である。頭がないという出で立ちは、まったくもって異様だが、2本の足で歩く姿は人間に近い。私はまだ、これを捕獲して調査したことがないのだが、捕まえるのはさほど難しくないと踏んでいる。彼らの行動には、論理性が見られないからだ。

Ice Corpser(アイスコープサー)
辛うじて名前は一般に知られているが、その実態を知る者は少ない。氷のような触手を間近に見た者は、すべからくその餌食となってしまうからだ。

Ice Elemental(アイスエレメンタル)
全身が純粋な氷からなる2足歩行の怪物である。その岩のように固い腕を振り回し、人を襲う。
 
Ice Troll(アイストロル)
一般のトロルと同じく、これもまた狂暴な殺し屋である。温暖地域に住むトロルよりも恐ろしいのは、その体温の低さだ。それに近づくと、周囲の気温が一気に 低下する。私はかつて、アイストロルと戦っているうちに体が凍りつき、そのまま死んでしまった戦士を見たことがある。悲惨な光景であった。

Ice Worm(アイスワーム)
手足のない、巨大なミミズの仲間である。この怪物から、貴重な魔法の秘薬がとれる。Worm's heart(ワームの心臓)だ。

Insect(虫)
6本足の昆虫の総称である。飛ぶものあり、刺すものあり、大群で移動するものあり。いずれにせよ、虫はイヤなものだ。

Mongbat(モングバット)
小さな人間とコウモリを掛け合わせたような怪物である。空を飛び、非常に敏捷に空中から人を襲う。攻撃は執拗だが、体が小さいため、攻撃力は低い。

Mouse(ハツカネズミ)
もっとも小型のげっ歯類である。生ゴミをあさって生きているハツカネズミは、魔法の動物実験には最適の存在だ。

Mummy(ミイラ)
不潔な包帯を体中に巻いた死人が動き回る、明らかにアンデッドの仲間である。これが、この島の先住民たちとどう関わりがあるのかは定かでないが、おそらく、古代において、先住民たちは、こうした形で死者を葬っていたのではないかと推測される。

Penguin(ペンギン)
空を飛ばず、水中に潜る白と黒の鳥類である。動きが遅いために、簡単に人間に捕らえられてしまう。肉は意外にうまい。

Phoenix(フェニックス)
立派なオレンジ色の飾り羽を持つこの鳥は、1000年を生き、己の巣に戻って死ぬと言われている。しかし、死骸が燃えると、その灰から再び新たなフェニックスが生まれ出て、さらに1000年を生きるという。

Rabbit(ウサギ)
これまた大食漢のげっ歯類である。なかでも好物は、畑の人参だ。

Rat、Giant(ジャイアントラット)
一般のネズミよりもずっと大きく狂暴であり、死肉を好んであさる、まさに死肉の主である。もともと人間を恐れないところへ持ってきて、複数が集まると、さ らに狂暴さを増す。ソーサリアでもここでも、ジャイアントラットを駆除しようと毒が使用されたのだが、口に入るものなら何でも栄養にしてしまう彼らは、皮 肉なことに、これにより毒への免疫力をつけてしまったのだ。

Ratman(ラットマン)
人間とネズミを掛け合わせたような生物である。彼らはムーンシェードの頭痛の種だ。ラットマンは、町の足元に広がる地下墓地をねぐらとし、旺盛な繁殖力 で、かなりの数が生息していると言われている。いくら退治してもしきれない。しかし、いつかは地下墓地からヤツらが一掃される日がくると私は確信してい る。

Reaper(リーパー)
荒れ狂う植物の魂がやどった怪物だ。強力なハンターでもある。地面に根を張っているために移動はできないが、長い触手状の枝があり、これに巻きつけられた なら、屈強な戦士も身動きができなくなる。さらに、魔法の力を持ち、稲妻の術で人を攻撃する。その体の構造から、リーパー自身を傷つけることは極めて難し い。しかし、古木に寄生する悪霊であるため、宿主である木を倒せば、リーパーも自然に弱る。

Scorpion(サソリ)
非常に危険な大型の節足動物である。非常に大きいため、人間を捕らえて食うこともある。挟みで押さえ込まれ、尻尾の毒針で一突きされたなら、体中が麻痺して動けなくなってしまう。

Serpent(サーペント)
サーペントとは大蛇のことである。体は大きくても動きは稲妻のごとく敏捷で、いかなる獲物も、安々と殺してしまう。

Sheep(羊)
ごく一般的な家畜である。ウールと羊肉を我々に提供してくれる。

Skeletal Dragon(スケルタル・ドラゴン)
知能を高めたドラゴンのなかには、肉体を捨て、さらなる知能の発達を目指すものがいる。鱗と肉をそぎ落とし、灰白色の骨だけになった体には、非常に高い知 能を持つ魂だけが宿る。しかし、肉体は失っても、能力の進歩はとどまることがなく、生きている親戚よりも、数段大きな攻撃力を誇るのが普通である。

Skeleton(スケルトン)
古代の戦士がアンデッドとなって蘇ったものである。骨だけの体だが、筋肉隆々の生きている戦士と同等の攻撃力を有している。じっと地面に横たわっていると きは、他の人骨と見分けがつかない。いきなり動き出して襲ってくることがあるため、人骨の山ができているような場所は、要注意だ。

Slime(スライム)
スライムはスライムである。これ以上、この生物を形容する言葉はない。自己増殖で増えるのだが、人の攻撃によって分断されたときも、増殖する。また、複数 が融合して大きなスライムになったりもする。スライムに対してもっとも効果的な武器は、松明である。火は、彼らの増殖能力を奪うのである。

Snow Leopard(雪豹)
寒冷地域に生息する猫科の大型動物である。非常に敏捷で、鋭い爪と牙を正確に操り、人を襲って食らう。

Spider、Giant(大蜘蛛)
暗闇に巣を張り、視覚を奪われた獲物を捕らえる。牙には毒があり、噛んで敵の体内に毒を入れるほか、かなり遠くまで毒液を飛ばすこともできる。

Stone Harpy(ストーン・ハーピー)
ハーピーという名前は相応しくない。なぜなら、ストーン・ハーピーとは、人間のように動く石造すべてを含むからだ。彼らは、暗い地下墓地などで、貴重品を守るために、遠い昔に作られたものだ。

Swamp Tentacle(スワンプ・テンタクル)
コープサーと同様、これもまた全身像がまったく知られておらず、暗い沼の底に獲物を引きずり込む触手だけが目撃されている。

Troll(トロル)
トロルは盗賊である。体が大きく、狂暴な盗賊である。つまりは、盗賊だ。巨大な棍棒を振り回し、犠牲者を一撃で倒すか、あるいは脅しつけて金品を巻きあげる。人里離れたところにある橋の下を好んでねぐらにしている。

Wolf(オオカミ)
犬やキツネよりも大きな犬科の動物である。非常に有能なハンターとしても知られている。彼らは群れを作って平原を渡り歩き、ウサギや羊などを襲う。しかし、そのイメージとは裏腹に、群れをなして人間を襲ったという話は、ほとんど聞かれない。



魔法

魔法に必要なもの
私はこれを書くにあたって、魔法を誰かに啓蒙しようという意図はない。他人に見せるためにではなく、自分のために書いているからだ。しかし、前にも言った ように、後世に残す記録という意味もある。そのため、我が魔法研究の成果を、素人向けに噛み砕いて解説していこうと思う。
面白いことに、昔から慣れ親しんできた魔法の一部が、この新世界では使えなくなった。しかし、さらに面白いことには、このサーペントアイルで、私はそれら によくにた、新しい魔法を発見したのだ。また、まったく新しい秘薬と呪文を使う、まったく新しい魔法も発見した。おそらく、この土地の寒冷な気候が魔法の 違いを生んだのであろう。ここでは、低温は火よりも恐ろしい存在だ。また、我々が移住する以前にここに存在していた未知の文明の影響も無視することはでき ない。残念ながら、彼らがなぜこの世から消滅してしまったかを知るには、人間の一生では時間が短すぎる。
魔法を実現させるためには、“グリムワール”、つまり呪文の書と、秘薬と、力の言葉の3つが必要になる。

呪文の書
Spell Book(呪文の書)は、魔法においてもっとも基本となるアイテムと言えるだろう。呪文の書は、術者のレパートリーである呪文すべてに関する詳細な解説書 なのである。これには、各魔法に必要な秘薬、力の言葉の解説、呪文のリストが書かれている。一般の人には、呪文の書の内容は判読不可能であろうが、魔法使 いは、習得した魔法の解説だけはすらすらと読めるようになる。どれだけ多くの内容が読めるようになるかが、つまりは魔法の実力というわけだ。
私はまた、魔法の呪文が書き込まれた巻物を、この世界でも発見している。これらの巻物は、そのまま使用することで、書かれている魔法の効力を発揮させるこ とができる(まったく役に立たない魔法もあるが)。私は現在、これを繰り返し使うことで、その魔法を呪文の書に転写させる方法を研究中だ。

秘薬
魔法のエネルギーを物理現象に変換させるために使われる物質が、Reagents(秘薬)である。ここに、現在知られている秘薬をリストアップしよう。個 々の秘薬は、さして特別なものではないが、これらを正しく組み合わせ、力の言葉を発することで、驚くべきパワーが導きだされるのである。

Black Pearl(黒真珠)
潰して粉にして使用するのだが、真球の黒真珠でなければ効果がない。黒真珠は、推進のエネルギーを導き出す。サーペントアイルでは、フォーンの漁師が、唯一、黒真珠を売っている。

Blood Moss(血の苔)
ムーンシェードの南の沼にのみ生息する赤い苔である。朽ちた木の樹皮の下に見られることが多い。血の苔は、加速力と移動力を導き出す。

Blood Spawn(血の卵)
この秘薬は、非常に変わった方法で作られる。まずは、石筍から採取された赤い石、Stoneheart(ストーンハート)を潰して粉にし、これに術者自身 の血液を混ぜるのである。Blood Spawn(血の卵)は、サークル魔法の攻撃系の術に力を与える。言うまでもないが、他人からこれを買って使うことはできない。また、己の血の卵を売るこ ともできない。

Garlic(にんにく)
どこの家庭にもある、ごく普通の野菜であるが、魔法の秘薬として使うときは、匂いのきついペースト状にすりおろす。にんにくは、防御系の魔法の作用を高めるために使われる。最近では、フォーンの園芸家が、秘薬に加工したにんにくを手ごろな価格で売り出している。

Ginseng(人参)
これもフォーン特産の農作物である。秘薬としては、人参の根を40回ほど繰り返し煮詰めることでシロップ状にしたものを用いる。人参の解毒作用は一般にも知られているため、温室で栽培され、収穫後ただちに加工されている。

Mandrake Root(マンドレーク)
もっとも採取が難しく加工にも手間がかかる秘薬である。沼地の泥の中に生えるマンドレークは、丁寧に掘り出す必要がある。これを煮詰め、乾燥させると出来 上がりだ。マンドレークは、数多くの魔法の効力の強化に用いられる。マンドレークは、Gorlab(ゴーラブ)の沼に多く自生している。また、Monk Island(モンク島)にも生えていると聞いたことがある。

Nightshade(ナイトシェード)
猛毒を持つキノコであるため、取り扱いは慎重にしなければならない。傘の部分を茶で煮出すか、全体を乾燥させて粉末にすることで、毒キノコが便利な秘薬に 変身する。ナイトシェードは、相手にダメージを与える力を攻撃系の魔法に与えるのである。Gorlab(ゴーラブ)の軟泥の上に、よく生えている。

Serpent Scales(サーペントの鱗)
前文明の廃墟から発見された魔法には、特別な秘薬が必要となる。それが、このサーペントの鱗だ。普通のヘビの鱗では効果がない。とは言え、秘薬に加工する 方法は失われている。したがって、現在、この古代の秘薬を手に入れるには、やはり、前文明の廃墟から拾い集めるしかない。

Spider Silk(蜘蛛の糸)
どこででも見かける蜘蛛の巣の糸であるが、秘薬として使えるだけのまとまった量を集めるは並大抵の労働ではない。そこで、魔法使いの中には、乳牛を飼って 乳を絞るように、大蜘蛛を飼って糸を集める者も少なくない。しかし、死人の島、Isle of Crypts(クリプツ島)へ行けば、これまで見たこともないほど多くの大蜘蛛に出会える。それだけ、巣も多く、蜘蛛の糸の採取にはうってつけの場所であ る。

Sulfurous Ash(硫黄の灰)
言ってしまえば、火山の噴火によって排出された硫黄の燃えかすに過ぎないが、この新世界では、Furnace(ファーナンス)と呼ばれる洞窟で採取することができる。もし、デーモンに食い殺されなければの話だが。

Worm's Heart(ワームの心臓)
アイスワームの体内から取り出した心臓である。雪や低温に関係する特殊な魔法に力を与える秘薬となる。


力の言葉
下に列挙した力の言葉は、無秩序に音節をつなぎ合わせただけのデタラメ語に見えるかもしれないが、じつは、大変な力を秘めた言葉なのである。これらを声を 出して唱えることで、魔法に必要なエネルギーを補完することができる。と言うよりは、秘薬と結合して完璧な魔法を作りだす。もっと平たく言えば、これが魔 法の呪文そのものなのである。
これらの言葉を極めるための研究は、古くから行われてきたが、確かに言えるのは、これを唱えるときは、リズム、発音、抑揚に気をつけるということだ。昔か ら伝わる話だが、ある魔法使いがドラゴンに変身しようと呪文を唱えたのだが、ちょっとした発音ミスで牛になってしまったそうだ。
ここに、私が知る限りの力の言葉を並べてみた。これらを組み合わせることで、さまざまな力が作り出されるのである。

音節 意味
AN……避ける/解除する
BET……小さい
CORP……死
DES……下げる/下
EX……自由
FLAM……火
FRIO……寒冷
GRAV……エネルギー/場
HUR……風
IN……作る/生む/起こす
JUX……危険/罠/害
KAL……呼び出す
LOR……光
MANI……命/治療
NOX……毒
ORT……魔法
POR……動く/動き
QUAS……幻覚
REL……変化
SANCT……守る/防護
TYM……時間
UUS……上げる/上
VAS……大きい
WIS……知る/知識
XEN……生物
YLEM……事象
ZU……眠る


呪文
9つのサークルの魔法を極めることは、他の学問同様、険しく根気のいる作業である。サークルは、エーテルと一般に呼ばれている虚空間から輪のように広がる 波動を表わしている。このひとつひとつのサークルの中に、魔法に必要なエネルギーが込められている。もっとも外側のサークルに属する魔法は、もっとも簡単 なものであり、入門用だ。魔法使いは、鍛錬を重ね、より中心に近いサークルの魔法を習得しようと努力するのである。サークルの中心の魔法が使えるようにな れば、最強の魔道師と呼ばれるようになるだろう。ここに、サークルごとにすべての魔法をリストアップした。魔法に必要な秘薬と力の言葉も併記してある。


第一サークル
IN MANI LYEM(Create Food:食料創出)
秘薬:Garlic、Ginseng、Mandrake Root(にんにく、人参、マンドレーク)
術者と仲間の空腹を満たすに十分な、一食分の食事が出現し、全員に配られる。

AN NOX(Cure:解毒)
秘薬:Garlic、Ginseng(にんにく、人参)
指定した人間の体から、麻痺を含む、すべての毒を抜き取る。

WIS JUX(Detect Trap:罠探知)
秘薬:Nightshade、Spider's Silk(ナイトシェード、蜘蛛の糸)
術者の周囲に仕掛けられた罠をすべて見つけ出す。

VAS AN FLAM(Great Douse:強消火)
秘薬:Garlic、Spider's Silk(にんにく、蜘蛛の糸)
その名が示すとおり、術者の視界内にあるすべての火を消す。

VAS IN FLAM(Great Ignite:強点火)
秘薬:Sulfurous Ash、Spider's Silk(硫黄の灰、蜘蛛の糸)
術者の周囲の可燃物すべてに火をつける。

IN LOR(Light:光)
秘薬:Sulfurous Ash(硫黄の灰)
約30分間光り続ける光源を出現する。光源は術者について動く。

IN WIS(Locate:位置)
秘薬:Nightshade(ナイトシェード)
術者が立っている場所の情報がわかる。

ORT POR YLEM(Telekinesis:念動)
秘薬:Black Pearl、Blood Moss、Mandrake Root(黒真珠、血の苔、マンドレーク)
物に直接手を触れずに動かしたり、操作ができるようになる。


第二サークル
AN ZU(Awaken:目覚め)
秘薬:Garlic、Ginseng(にんにく、人参)
眠っている人間ひとりを覚醒させる。疲れて寝ている場合でも、魔法で眠らされている場合でも有効。

AN JUX(Destroy Trap:罠解除)
秘薬:Blood Moss、Sulfurous Ash(血の苔、硫黄の灰)
罠が仕掛けられているアイテムに対して使用することで、その罠の危険性を解除し、罠自体も破壊する。

REL YLEM(False Coin:偽りのコイン)
秘薬:Nightshade、Sulfurous Ash(ナイトシェード、硫黄の灰)
コインに対して使用すると、ひとつのコインが5つに増える。ただし、魔法で増えたコインには使用できない。

VAS FRIO(Cold Blast:冷気球)
秘薬:Black Pearl、Sulfurous Ash、Worm's Heart(黒真珠、硫黄の灰、ワームの心臓)
冷気エネルギーの球を作り、敵に投げつける。雪合戦の球のようなものだが、威力は非常に大きい。

VAS LOR(Great Light:強光)
秘薬:Sulfurous Ash、Mandrake Root(マンドレーク、硫黄の灰)
Light(光)と同じ効果をもたらすが、持続時間が4倍長い。

MANI(Heal:治癒)
秘薬:Garlic、Ginseng、Spider's Silk(にんにく、人参、蜘蛛の糸)
数日間の休養を一瞬のうちにとってしまったかのように、受けたダメージを急速に回復させる。

VAS AN NOX(Mass Cure:全員解毒)
秘薬:Garlic、Ginseng、Mandrake Root(にんにく、人参、マンドレーク)
Cure(解毒)と同じ効果をもたらすが、術者のみならず、仲間全員に効果が及ぶ。

UUS SANCT(Protection:防御)
秘薬:Garlic、Ginseng、Sulfurous Ash(にんにく、人参、硫黄の灰)
術者は一時的にダメージを受けにくくなり、罠やそのほかの危険から完全に保護される。


第三サークル
DES SANCT(Curse:呪い)
秘薬:Garlic、Nightshade、Sulfurous Ash(にんにく、ナイトシェード、硫黄の灰)
狙った敵の戦闘能力を低下させる。攻撃力も防御力も低下する。

ORT YLEM(Enchant Missiles:魔法ミサイル)
秘薬:Black Pearl、Mandrake Root(黒真珠、マンドレーク)
弓とクロスボウの矢の束にまとめてエンチャント(魔力)をかけ、威力を高める。

WIS JUX YLEM(Columna's Intuition:柱の直感)
秘薬:Black Pearl、Garlic(黒真珠、にんにく)
周囲に潜む危険の元凶に発光体を植え付け、危険を知らせる。とくに、人里離れた場所で効果が高い。

VAS UUS SANCT(Protect All:全員防御)
秘薬:Garlic、Ginseng、Mandrake Root、Sulfurous Ash(にんにく、人参、マンドレーク、硫黄の灰)
Protection(防御)の強化版である。術者とその仲間全員に効果を及ぼす。

AN POR(Paralyze:麻痺)
秘薬:Nightshade、Spider's Silk(ナイトシェード、蜘蛛の糸)
狙った敵の動きを一時的に止める。

IN ZU(Sleep:睡眠)
秘薬:Nightshade、Spider's Silk、Black Pearl(ナイトシェード、蜘蛛の糸、黒真珠)
狙った相手を長時間眠らせる。

REL WIS(Translation:翻訳)
秘薬:Black Pearl、Mandrake Root、Spider's Silk、Sulfurous Ash(黒真珠、マンドレーク、蜘蛛の糸、硫黄の灰)
この術をかけられた者は、古代ルーン文字などの未知の言語が解読できるようになる。学習好きな魔法使いには便利である。


第四サークル
REL POR(Blink:移動)
秘薬:Blood Moss、Mandrake Root(血の苔、マンドレーク)
瞬間移動の縮小版である。術者とその仲間を、約20歩ほど離れた場所に瞬間移動させる。ただし、鍵のかかったドアなど、通常、通りぬけることができな障害物があれば、そこで停止する。

AN XEN JUX(Deter:回避)
秘薬:Garlic、Spider's Silk(にんにく、蜘蛛の糸)
比較的知能の低い攻撃的な動物の攻撃意欲をそぎ、術者から遠ざける。

IN VA LOR(Flash:閃光)
秘薬:Mandrake Root、Sulfurous Ash(マンドレーク、硫黄の灰)
周囲にいるすべての生物の視力を、強烈な光によって一時的に奪う。術者はこの影響を受けない。

VAS DES SANCT(Mass Curse:強呪)
秘薬:Garlic、Mandrake Root、Nightshade、Sulfurous Ash(にんにく、マンドレーク、ナイトシェード、硫黄の灰)
第三サークルのCurse(呪い)と同様の効果を、周囲のすべての敵にもたらす。

WIS QUAS(Reveal:暴露)
秘薬:Blood Moss, Sulfurous Ash(血の苔、硫黄の灰)
魔法によって隠されている物を暴露する。

REL ORT WIS(Transcribe:転写)
秘薬:Black Pearl、Spider's Silk(黒真珠、蜘蛛の糸)
魔法の巻物などに書かれている魔法を、呪文の書に転写する。他の魔法使いから呪文の書の新しいページを買う必要がない。

EX POR(Unlock Magic:魔法錠解除)
秘薬:Blood Moss、Sulfurous Ash(血の苔、硫黄の灰)
魔法によってかけられた錠前を外す。


第五サークル
KAL XEN(Conjure:野獣)
秘薬:Mandrake Root、Spider's Silk(マンドレーク、蜘蛛の糸)
強暴な野獣を呼び出し、敵を攻撃させる。

VA FRIO HUR(Explosion:爆発)
秘薬:Blood Moss、Black Pearl、Mandrake Root、Sulfurous Ash(血の苔、黒真珠、マンドレーク、硫黄の灰)
大きな青い炎の球を敵に投げつけ、爆発させる。

VAS MANI(Great Heal:強治癒)
秘薬:Ginseng、Spider's Silk、Mandrake Root、Garlic(人参、蜘蛛の糸、マンドレーク、にんにく)
傷ついた人間を完全な健康体に回復させる。

SANCT LOR(Invisibility:透明化)
秘薬:Blood Moss、Nightshade(血の苔、ナイトシェード)
術者の体を透明にし、あらゆる視覚に探知されなくなる。

VAS ZU(Mass Sleep:集団睡眠)
秘薬:Ginseng、Nightshade、Spider's Silk(人参、ナイトシェード、蜘蛛の糸)
周囲の敵すべてを眠らせる。

UUS VAS GRAV(Surprise:驚異)
秘薬:Black Pearl、Garlic、Mandrake Root、Sulfurous Ash(黒真珠、にんにく、マンドレーク、硫黄の灰)
私が発明した魔法であるため、他人はこれを、“アースタムの驚異”と呼ぶ。大きなガスの雲を生み出し、これを吸った者に、毒、睡眠、恐怖など、さまざまな害毒を与える。


第六サークル
AN XEN EX(Betray:裏切り)
秘薬:Black Pearl、Nightshade、Spider's Silk(黒真珠、ナイトシェード、蜘蛛の糸)
敵を洗脳し、術者の味方につけ、その者のそもそもの味方と戦わせる。

AN QUAS(Dispel Illusion:幻影解除)
秘薬:Garlic、Mandrake Root、Nightshade(にんにく、マンドレーク、ナイトシェード)
建物や動物などの幻影を生み出している魔法の元凶を破壊する。

QUAS WIS(Cause Fear:恐怖)
秘薬:Garlic、Mandrake Root、Nightshade(にんにく、マンドレーク、ナイトシェード)
すべての敵に恐怖心を植え付け、戦闘から逃走させるよう仕向ける。

IN FRIO GRAV(Fire Field:ファイヤーフィールド)
秘薬:Black Pearl、Sulfurous Ash、Spider's Silk(黒真珠、硫黄の灰、蜘蛛の糸)
青い炎のフィールドを作り、ここを超えようとする者にダメージを与える。

KAL FRIO GRAV(Fire Ring:炎の環)
秘薬:Black Pearl、Worm's Heart、Mandrake Root、Spider's Silk、Sulfurous Ash(黒真珠、ワームの心臓、マンドレーク、蜘蛛の糸、硫黄の灰)
基本的にはファイヤーフィールドであるが、これを術者の周囲に環状に創出する。

VAS IN FRIO GRAV(Cold Strike:低温攻撃)
秘薬:Blood Moss、Black Pearl、Worm's Heart、Sulfurous Ash(血の苔、黒真珠、ワームの心臓、硫黄の灰)
周囲にいる敵の足元に青い炎のフィールドを発生させる。フィールドは時間がたつと
消えてなくなる。

IN JUX YLEM(Create Missile:矢の創出)
秘薬:Blood Moss、Ginseng、Sulfurous Ash(血の苔、人参、硫黄の灰)
弓またはクロスボウの矢を生み出す。どちらができるかは、パーティーが所有している弓またはクロスボウの数の比率によって決まる。弓もクロスボウもないとき、または、弓とクロスボウが同数であったときは、普通の矢が作り出される。

IN ORT XEN(Create Automata:オートマタ創出)
秘薬:Mandrake Root、Sulfurous Ash、Spider's Silk、Serpent Scales(マンドレーク、硫黄の灰、蜘蛛の糸、サーペントの鱗)
ここへ来るまで、まったく知らなかった魔法だ。これを習得するには、Translation(翻訳)の魔法が必要になる。故障したオートマタ(自動人形) を修理する効果があるが、そもそも何を意図して開発されたの魔法なのかは不明である。修理されたオートマタの利用法も、荷物運び以外、何に使ってよいもの やら、見当がつかない。


第七サークル
IN SANCT GRAV(Energy Field:エネルギーフィールド)
秘薬:Black Pearl、Mandrake Root、Spider's Silk、Sulfurous Ash(黒真珠、マンドレーク、硫黄の灰、蜘蛛の糸)
エネルギーのフィールドを発生させ、そこを通過するものにダメージを与える。

IN HUR GRAV YLEM(Energy Mist:エネルギーの霧)
秘薬:Blood Moss、Mandrake Root、Nightshade、Sulfurous Ash(血の苔、マンドレーク、ナイトシェード、硫黄の灰)
術者より、狙った敵に向けてエネルギーの霧を放出し、ダメージを与える。

VAS AN ZU(Mass Awaken:全員覚醒)
秘薬:Ginseng、Garlic(人参、にんにく)
第二サークルのAwaken(覚醒)と同じ効果を、術者の周囲の味方全員にもたらす。

IN VAS POR(Mass Might:戦力倍増)
秘薬:Black Pearl、Ginseng、Mandrake Root(黒真珠、人参、マンドレーク)
戦闘に関する肉体的精神的能力を高め、人間の極限にまで戦闘効率を上げる。

IN HUR NOX(Poison Mist:毒霧)
秘薬:Blood Moss、Nightshade、Sulfurous Ash(血の苔、ナイトシェード、硫黄の灰)
特定の場所に毒の霧を発生させ、そこを通過する者全員に毒を与える。

VAS MANI(Restoration:完全回復)
秘薬:Garlic、Ginseng、Mandrake Root、Spider's Silk(にんにく、人参、マンドレーク、硫黄の灰)
術者と仲間全員の怪我の治療、体力回復、悪性の呪い、毒、麻痺などの解除を一瞬に行う。ただし、対象者は生きていること。

AN GRAV EX(Vibrate:ゆすり)
秘薬:Black Pearl、Blood Moss、Mandrake Root、Spider's Silk(黒真珠、血の苔、マンドレーク、蜘蛛の糸)
非常に変わった魔法である。巨大なトロルにつかまり、金品を出せと体を揺さぶられるがごとく、狙った敵の体をガタガタ震わせる。これにより、相手は肉体的ダメージを受けるばかりか、持っているものを地面に落とすのである。

ORT GRAV(Lightning:稲妻)
秘薬:Black Pearl、Mandrake Root、Sulfurous Ash(黒真珠、マンドレーク、硫黄の灰)
狙った敵に向けて、強烈な電気エネルギーを放射する。


第八サークル
IN FRIO(Create Ice:氷の創出)
秘薬:Worm's Heart、Spider's Silk(ワームの心臓、蜘蛛の糸)
大きな氷の塊で狙った敵を包み、これが溶けるまで、相手の動きを封じる。また、これを場所に使えば、氷の壁を作ることができ、溶けるまでの間、障害物として働いてくれる。

CORP POR(Mind Blast:精神の矢)
秘薬:Blood Spawn、Black Pearl、Nightshade、Sulfurous Ash(血の卵、黒真珠、ナイトシェード、硫黄の灰)
術者の精神力によって威力が定まる攻撃の術である。狙った敵に向けて、非常に強力な魔法の矢を放つ。

TYM VAS FLAM(Delayed Blast:時限爆破)
秘薬:Blood Moss、Black Pearl、Mandrake Root、Spider's Silk、Sulfurous Ash(血の苔、黒真珠、マンドレーク、蜘蛛の糸、硫黄の灰)
8秒後に爆発する魔法の球を作り出す。周囲の者すべてにダメージを与える。

POR YLEM(Fetch:入手)
秘薬:Blood Moss、Black Pearl、Mandrake Root(血の苔、黒真珠、マンドレーク)
第一サークルのTelekinesis(念動)を発展させた術である。視界内に見えているすべての物に手を伸ばすことができる。その物が置かれた場所や障害物などの影響は受けない。

KAL FRIO XEN(Invoke Snow Serpent:スノーサーペント召喚)
秘薬:Blood Moss、Garlic、Spider's Silk、Worm's Heart、Serpent Scales(血の苔、にんにく、蜘蛛の糸、ワームの心臓、サーペントの鱗)
狂暴なスノーサーペントを呼び出し、術者の味方として敵と戦わせる。

KAL FRIO XEN EX(Serpent Bond:サーペントの契約)
秘薬:Blood Moss、Black Pearl、Garlic、Spider's Silk、Worm's Heart、Serpent Scales(血の苔、黒真珠、にんにく、蜘蛛の糸、ワームの心臓、サーペントの鱗)
術者の体をスノーサーペントの姿に変える。一時的にではあるが、スノーサーペントとして、人間とはまったく異なる移動方法が体験できる。

KAL VAS FRIO GRAV(Firesnake:火蛇)
秘薬:Garlic、Mandrake Root、Sulfurous Ash(にんにく、マンドレーク、硫黄の灰)
術者より狙った相手に向けて、障害物も物ともせず、炎の筋を放射する。炎の筋は敵に命中した時点で爆発する。

IN JUX POR YLEM(Swordstrike:死の車)
秘薬:Black Pearl、Blood Spawn、Mandrake Root、Nightshade(黒真珠、血の卵、マンドレーク、ナイトシェード)
8本の剣からなる風車が出現し、狙った敵に向かって突進する。


第九サークル
VAS CORP HUR(Death Vortex:死の渦)
秘薬:Blood Moss、Mandrake Root、Nightshade、Sulfurous Ash(血の苔、マンドレーク、ナイトシェード、硫黄の灰)
目標が死ぬか、魔法の持続時間が切れるまで、狙った敵を渦巻く黒死病の霧が追いかける。

VAS CORP(Mass Death:虐殺)
秘薬:Blood Moss、Blood Spawn、Garlic、Ginseng、Mandrake Root、Nightshade(血の苔、血の卵、にんにく、人参、マンドレーク、ナイトシェード)
術者の視界内すべての敵を一瞬にして葬り去る強力な術である。しかし、非常に大量のエーテルのエネルギーを使用するため、術者自身の体力の消耗も激しく、危険である。

VAS SANCT LOR(Invisibility all:全員透明化)
秘薬:Black Pearl、Blood Moss、Mandrake Root、Nightshade(黒真珠、血の苔、マンドレーク、ナイトシェード)
術者とその仲間全員の体を透明にし、他人の目には感知できないようにする。

UUS VAS JUX YLEM(Spiral Missile:スパイラルミサイル)
秘薬:Blood Moss、Blood Spawn、Black Pearl、Nightshade、Sulfurous Ash(血の苔、血の卵、黒真珠、ナイトシェード、硫黄の灰)
術者のレベルと同数の、強烈な魔法の矢を、敵に向けてランダムに発射する。複数の敵と戦うときに大変に便利である。

AN HUR(Stop Storm:嵐の解消)
秘薬:Black Pearl、Garlic、Mandrake Root、Spider's Silk、Sulfurous Ash(黒真珠、にんにく、マンドレーク、蜘蛛の糸、硫黄の灰)
激しい嵐の絶え間ない雷に悩まされているとき、この術が役に立つ。これを唱えることで、雷雲をなだめ、穏やかな青空を頭上に広げることができるのである。

KAL VAS XEN(Summon:召喚)
秘薬:Blood Moss、Garlic、Mandrake Root、Spider's Silk(血の苔、にんにく、マンドレーク、蜘蛛の糸)
非常に強力な生物を呼び出し、あらゆる敵と戦わせる。ただし、どのような生物が出てくるかは、そのときになってみないとわからない。

AN TYM(Time Stop:時間停止)
秘薬:Blood Moss、Garlic、Mandrake Root(血の苔、にんにく、マンドレーク)
術者とその仲間を除く、世界のすべての物を12秒間だけ停止させる。実際に時間の流れを停止させてしまうのであるから、12秒間の持続時間という概念が適当かどうかは、議論を呼ぶところである。

KAL VAS AN GRAV(Imbalance:不均衡)
秘薬:Nightshade、Sulfurous Ash、Worm's Heart、Serpent Scales(ナイトシェード、硫黄の灰、ワームの心臓、サーペントの鱗)
非常に強力で、コントロールの難しい魔法である。本当に緊急の場合を除いては、使わないに越したことはない。ファイヤーフィルドの波動と、爆発と、稲妻を発生させる。



後書き

私がここに記した情報をすべて集めるためには、数百年の年月を要した。我々がこの島の到着してから今日まで、あまりにも変化が激しすぎたからだ。この本を 書き終えた今、私は、どのような人に、これが読まれるのかを気にし始めている。この島の住人どもは、自分の利害とは関係のない知識を求めたりはしない。い まだにロード・ブリティッシュの国に暮らしている者どもは、この英知の結晶を目にする機会すらないだろう。ソーサリアと連絡をとろうという我々の試みは、 何ひとつ結果を出していない。残したものと言えば、海に消えた船乗りの妻たちの悲しみだけだ。
だが、無駄働きだったとは思っていない。第一に、私自身、貴重な知識の集大成を手にすることができたからだ。我が民族の歴史、この島の歴史(現在知り得る 限りにおいてだが)、この島の動植物などなど、すべてがここに収められている。椅子の背もたれに寄りかかり、己に科した大仕事から己を解放し、くつろぐこ とで、私は周囲の物事をいっさい感知せず、情報収集を行わないという状態に身を置くことができるようになった。暖炉で火のはぜる音と、虫の飛ぶ音が聞こえ る。家の外からは、低い唸り声が聞こえてくる。また、瞬間移動の嵐がこの世界の地形を変えようとしているのだろう。窓のよろい戸が風に吹かれて窓枠に当た る音も聞こえる。
間もなく、私は椅子から立ちあがり、窓を閉め、不死の研究を再開することになるだろう。……間もなく。

アースタム

 


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