ウルティマって知ってる?
序論
私は、ウルティマは他のどのRPGと比べても一線を画す素晴らしいRPGだと思っています。
これほどの名作が全然プレイされないというのは実にもったいないことだと思うので、以下にウルティマに関する簡単な紹介文を書きたいと思います。
日本におけるウルティマ
日本でウルティマというゲームの概要を知っている人は非常に少ない。
「ウルティマオンライン」は日本でも有名で、ネットゲームの先駆けとして大成功を収め、今後のネットゲームの方向性を決定付けたとも言える名作ですが、良くも悪くもネットゲームなので、一人用のRPGである本家ウルティマとはゲーム性が大きく異なっています。
ウルティマ本編が、ウィザードリィと並ぶ海外名作RPGといった肩書きくらいは知られているかもしれませんが、その内容まで知られていないのは、日本のコンシューマー用に移植されたものが限られているからでしょう。
コンシューマー用では、ウルティマ3・4がファミコンに移植され、6・7と外伝の恐竜帝国がスーパーファミコンに移植されています。
しかし、6を除いた全てが移植元とはかけ離れた出来となっています。
中でも多くプレイされたものは、3の移植作であるFC版・「恐怖のエクソダス」だと思いますが、これはひどい移植によりクソゲーとしての知名度の方が高いような有様です。
ウルティマというゲームの不人気の原因の多くは、このゲームのせいでしょう。
もっとも、移植元のウルティマ3もゲーム内容に関してはさほど変わりませんが……。
そして、ウルティマ最高傑作と呼ばれたウルティマ7も、大幅なスケールダウンとシステム変更をして移植されており、オリジナルの素晴らしさを全く感じられないものとなっています。
特にウルティマ7は、PC版も含めて日本語移植されたものがこのSFC版のみであるため、実に嘆かわしいことです。
現在日本では「ウルティマコレクション」というオリジナルの1〜8(7以外日本語版)までをまとめたものが、比較的容易に入手できるため、こちらをプレイすることをお勧めします。
というか、コンシューマー版は6以外やってはいけません。
本家のウルティマ
ウルティマはナンバーの付いたもので1から9まで出ており、その全てが連作となっています。
そのため壮大な世界観を構成することに成功しています。
が、ここで注意することは、ウルティマは4からが実質的な始まりであるということです。
4から9までは舞台や登場人物、ゲームのシステムがほぼ共通しているのに対し、1から3は、まだシステムや世界観を手探りで構築している段階の作品であり、後作とはかなり異なっています。
4以降とのストーリー的つながりもほとんどありません。
むしろ無理矢理つながってることにされている感じなので、このナンバリングには注意が必要です。
一応、公式なウルティマのカテゴリーでも、1から3は4以降と区別されています。
ということで、ウルティマというゲームの本質を知るためには、1から3を最初にプレイすることはお勧めできません。
興味本位でプレイするのも良いかもしれませんが、ノーヒントだとまずクリアできません。
難易度が高いとか不親切とか、そういった次元の問題ではなく、ただひたすらに理不尽です。
当時としては革新的だったかもしれませんが(現在の視点で見ても革新的で味のある部分はありますが)、やはり現在では厳しいものがあります。
ゲーム黎明期の作品ということを、よくよく考慮してプレイした方がよいでしょう。
そんなウルティマが、なぜ名作と呼ばれるのに至ったか、ウルティマ4以降をプレイすれば分かるでしょう。
それほどに他のRPGと一線を画しているのです。
以下はウルティマ4以降を念頭に置いて話を進めます。
ウルティマとはどんなゲームか
ウルティマは、基本的にはドラクエやFFと同じで(というかドラクエやFFがウルティマから影響を受けたのだが)町などで情報を集めて、それらを手がかりに広大な世界を冒険して最終目的を果たすゲームです。
この今となってはありふれたスタイルは、まさにウルティマが築き上げたものです。
そしてドラクエやFFなどの有名なRPGは、この点で未だにウルティマを超えていません。
まず重要なことは、ドラクエやFFなどの日本のRPGの多くが、主に子供をプレイ対象としているのに対し、ウルティマは発売当時にコンピューターを所有していた数少ないマニアックな大人を対象としていることです。
偏屈なおっさんが対象だけあって、世界観やストーリーに関しては実に考えさせられるものが多いです。
そして、それらはドラマ仕立てのようになっていません。
自分で探し出した情報を整理して組み立てる必要があります。
それゆえ、ゲームの進展は、あくまでプレイヤーの主導によるものとなります。
次に、世界の造りこみが圧倒的であることです。
町に暮らす人々は、一人ひとりに多くの情報が詰められ、それぞれ名前があり、タイムスケジュールに沿って行動し(5以降)、思想を感じるような多くのセリフを持ちます。
マップもひたすら広いだけでなく、「冒険していること」を常に感じさせられます。
野を歩き、日が落ちたら野営をし、立ち寄った町の酒場で酒を飲み、経緯度を測りながら海を渡り、暗闇におびえながら地下を進み、といったような、普通のゲームだと省略されがちなことをきっちり表現しています。
ウィザードリィが情報を制限することによって想像力を掻き立てるのであれば、ウルティマは多くの情報を効果的に見せることで、想像力を掻き立てるゲームであると言えるでしょう。
そして最後に、ウルティマのゲーム目的は他と大きく異なっています。
多くのRPGは、目的のために戦闘を繰り返して少しずつマップを進んで強くなり、最後のボスを倒す、ということに集約されます。
途中で謎解きのようなものもある場合がありますが、基本は武力でほぼ全てを解決します。
しかしウルティマでは、最初から世界のほとんど全ての場所に行くことができ、更に戦闘があまり重要ではありません。
もっと言うと、極端に強くなることができず、最強の状態まで鍛えても戦闘力は大きく変化しません。
ウルティマでは、最終目的を達成するための手段や情報を求めて世界を旅することになります。
最初から遠くの町やダンジョンに行くことができても、何のためにそこへ行くのか、何が必要とされているのか、が分からないと、ゲームを進めることはできません。
集めた情報の全てをメモに取り、整理して統合する必要があるため、非常に手間がかかりますが、細かい断片を集めて、それが一つにつながった時の達成感といったら格別なものがあります。
これらの全ての要素が、職人魂を感じさせる程に上手く作られており、プレイしていて感嘆することも多々あります。
まさに、究極の名に恥じない内容となっているのです。
以上、簡単な紹介ではありましたが、これに興味を持って、ウルティマをプレイしていただければ幸いと感じます。